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羽田空港の建物管理を行っている会社、日本空港テクノの環境マイスター 新津春子さんをお招きし、国際エアライン科の学生を対象とした特別講演を行っていただきました。
講演会冒頭で日本空港テクノ ハウスクリーニング事業部の小関完さんから新津さんの経歴をご紹介いただきました。
新津春子さんのプロフィール 1970年:中国?瀋陽にうまれる 1987年:来日(当時17歳)。清掃の仕事を始める 1995年:日本空港テクノ入社 1997年:全国ビルクリーニング技能競技会で最年少優勝(当時27歳) 2015年:NHK「NHKプロフェッショナル仕事の流儀」出演 2016年:日本テレビ「世界一受けたい授業」、TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」出演 |
講演会では新津さんはこれまでの経歴とともに、仕事に対する思いを語っていただきました。
新津さんは中国残留孤児2世として中国に生まれ、17歳で日本に来たのですが、その時点では日本語はまったくできなかったそうです。しかし電柱に貼ってあった求人広告の「清掃」という漢字だけは理解できた新津さん。この仕事なら自分でもできると思い、言葉が通じない中で広告を手にし「清掃」の文字を指さして、採用されます。これが新津さんが清掃の世界に入ったきっかけでした。
日本の高校に入学後も清掃アルバイトを授業の前後に入れ、卒業後にメーカーに正社員として就職しても、清掃アルバイトを終業後に入れていたそうです。本業以外にも常にアルバイトをしていた理由として新津さんは「生活に不安があることが嫌いだった。常に何か保険があるようにしていたかった」と語ります。
清掃の仕事をずっとしていた新津さんですが、その一方でずっと気になっていたことがあったそうです。それは「正しい清掃方法とは何か」ということ。これまで多くの会社で清掃のお仕事をされてきたわけですが、それぞれの会社で清掃方法が違っていました。新津さんは言われた通りにただやるだけ、という仕事に疲れてしまっていました。
そんな時にたまたま見かけた職業訓練校(公共の職業訓練施設。機械?電気?介護などさまざまな課程が設置されている)で清掃の課程があることを知りました。正しい清掃方法を学びたかった新津さんは早速入学を申し込みますが、年齢が若すぎるという理由で一度は断られます。しかし真剣に学びたいということを訴えた結果、熱意が買われて入学が認められました。
職業訓練校で清掃の知識を理論的に学んだ後、現在勤めている会社日本テクノに入社します。ここでも最初は男性しか募集していないと断られてしまったそうです。しかし「男性と同じ時間で同じ量の仕事を必ずします」と宣言し、入社が認められました。そのアグレッシブな姿勢に会場からは驚きの声が上がりましたが、新津さんは「自分に逃げ道を作りたくなかったからです」と答えました。
入社後も常に新しい技術を身につけることに積極的であった新津さん。資格試験挑戦が会社から認められなかったこともあったそうですが、それで駄目だと諦めるのではなく、休日に自費で受験をしたこともあったそうです。
新津さんにとって転機となったのは出場したビルクリーニング技能競技会 東京大会。習得した技術に自信のあった新津さんは優勝することを信じていたのですが、結果は2位。大変ショックだった新津さんは上司から「あなたには優しさが足りない」という言葉を言われます。どうやったら優しさを持った清掃ができるかを自分なりに考え、実践した結果、続く全国大会では優勝、それも史上最年少優勝の栄冠を勝ち取りました。
現在では会社内で後進の育成にあたっている新津さん。その結果もあって、日本空港テクノが管理している羽田空港はイギリスの航空格付け会社 スカイトラックス社から世界で一番清潔な空港と認められています。
新津さんはご自身の経歴の他にもいくつものメッセージを学生たちに送ってくれました。
「私はずっとより良い清掃方法を気にし続けていました。皆さんもぜひ何か気になっていること、子どもの頃の夢などをずっと大切にしていてください」
「使った部分が汚れるのですから、使っている人をよく観察することが清掃には大切です。自分の考えを相手に押し付けてはいけません。これは他の仕事でも同じだと思います」
「仕事を大変だと思ってしまうと壁ができてしまいます。大変だということに気づかず、夢中になること、自然体で楽しく働くことが大切です」
質疑応答では学生たちから質問が次々に出ました。
学生「元気の源は何ですか」
新津さん「強い気持ちを持つこと、そして前向きになることです。やりたい仕事があれば、周囲が反対してもハッキリ言い続けること。そしてできないことは考え込まないで、できないとハッキリ言うことです」
学生「これからの目標を教えてください」
新津さん「私が身につけたノウハウを社外の人にも教えることです。すでにYoutubeと本で発信していますが、これから世界にもっと発信したいです。全部できるとは思っていないのですが、100歳まで目標は設定しています」
参加した学生からは「新津さんの仕事に対するパッションと強い気持ちが心に刺さりました」「すでに就活が始まっている中、暗いニュースが多くてマイナスな気分でしたが、目標を立てて行動する力を身につけようと思いました」といった感想が寄せられました。
周りに従って生きるのではなく、自分がやりたいことが実現できるよう本気で努力する、目標に対しては障害を気にせず積極的にチャレンジするといった新津さんの生き方は参加した学生たちに深い感銘を与えるものとなりました。世の中がこれまで以上に大きく変わっていく今、求められるのはこういった姿勢なのでしょう。本日参加した学生たちのこれからに期待です。