空港のグランドスタッフに興味があるけど、仕事内容がよくわからない……という人もいるでしょう。グランドスタッフの仕事は大きく分けると、「カウンター業務」、「出発案内業務」、「到着便業務」の3つです。
この記事では、当ブログを運営する神田外語学院や、姉妹校の新皇冠体育出身の現役グランドスタッフの方に話を聞き、グランドスタッフの仕事内容のほか、
- グランドスタッフの一日
- グランドスタッフの仕事のやりがいと魅力
- グランドスタッフの仕事の苦労点
などを紹介していきます。最後まで読めば、グランドスタッフの仕事についてより深く理解できるはずです。
※本稿におけるグランドスタッフは、空港で接客業務にあたる人を指します。
※本文中でグランドスタッフを一部「GS」と表記します。
目次
1.グランドスタッフの3つの仕事内容
グランドスタッフの主な仕事内容は、以下の3つに大別されます。
- チェックインカウンター業務
- 出発案内業務
- 到着便業務
1-1.チェックインカウンター業務
チェックインカウンター業務は「搭乗手続き対応」と「受託手荷物対応」があります。
搭乗手続き対応
チェックインカウンター業務の1つ目の仕事は、搭乗手続きの対応です。出発時刻や搭乗口、乗り継ぎ便など、正確な案内が必要です。また、妊婦や幼児連れなどに対しては、搭乗口や機内でのサポートの手配など、旅客のニーズに合った判断が求められます。
受託手荷物(預け入れ荷物)対応
2つ目は受託手荷物(預け入れ荷物)の対応です。飛行機の客室内に持ち込むことができない荷物を、貨物室に搭載するためにカウンターで預かる仕事です。受託手荷物は、大きさや重さ、預け入れできない物などのルールが決められているため、それを確実に確認しなければなりません。
また、貴重品を受託する場合は、万が一破損や紛失などのトラブルが起きたときに責任問題になってしまう可能性があるため、旅客としっかりコミュニケーションをとる必要があります。
1-2.出発案内業務
出発案内業務は「出発ロビー案内」と「搭乗ゲート前案内」があります。
出発ロビー案内
出発ロビーで、自動チェックイン機の操作説明や、混雑時の誘導などを担当します。乗り遅れそうな旅客やターミナルを間違えてしまった旅客など、様々なイレギュラーに対応しなければならないこともよくあります。
搭乗ゲート前案内
搭乗口で出発の案内をする仕事です。キャビンアテンダントなどとブリーフィング(打ち合わせ)しながら、飛行機が定刻で出発できるように旅客にアナウンスします。搭乗予定の旅客が時間通りに現れないときは、スタッフ同士で連携して出発エリア中を探し回ります。
1-3.到着便業務
到着便業務は「到着旅客対応」と「手荷物返却対応」に分かれます。
到着旅客対応
ゲートで到着便を待ち、車椅子の旅客などの降機をサポートしたり、乗継便を案内したりします。また、キャビンアテンダントから何か引き継ぎ事項があった場合は、関係部署に伝達する役割もあります。
手荷物返却対応
受託手荷物を返却する際の対応です。万が一、荷物に何かトラブル(破損?紛失)があった際は、適切かつスムーズに対応しなければなりません。
グランドスタッフキャビンアテンダントの仕事内容は全く異なります。キャビンアテンダントは空港で接客の仕事をすることは原則的にありません。キャビンアテンダントの主な仕事は以下の2つです。
- 機内サービス業務→機内での食事?飲み物の提供や、機内アナウンスなど。
- 機内保安業務→離着陸前の安全確認や、出発?到着時のドア操作、緊急事態時の対応など。
※キャビンアテンダントの仕事はこの記事でさらに詳しく解説しています。
※グランドスタッフとキャビンアテンダント違いはこの記事で解説しています。 |
2.グランドスタッフの1日の流れ
続いて、グランドスタッフの1日の仕事の流れを紹介します。
基本的には早番?遅番のシフト制になっており、上記は早番の例です。遅番の場合は午後から出勤し、夜まで担当します。羽田空港など24時間運用の空港では、退勤が深夜になることもあります。
3.グランドスタッフの仕事の3つのやりがい?魅力
グランドスタッフの仕事のやりがいや魅力は、この3つです。
3-1.「空港の顔」として働ける
グランドスタッフは「空港の顔」として旅の第一印象を決められるというやりがいがあります。
飛行機の運航には、パイロットや客室乗務員、整備士、グランドハンドリングスタッフなど多くの人が関わっています。その中で旅客が初めて顔を合わせるのは、基本的にはグランドスタッフです。「空港の顔」として、旅の第一印象を左右する仕事としてやりがいがあります。
3-2.世界中の人を相手に接客できる
グランドスタッフは、空港を利用する世界中の人と接する機会がある仕事です。自分の語学力や知識を活かして、様々な国籍?宗教?文化圏の人に接客できるのは、グランドスタッフならではの魅力と言えます。
※グランドスタッフが英語を使う場面については、こちらの記事で解説しています。 |
3-3.チームで仕事をする達成感がある
飛行機を時間通り出発させるには、チェックイン、出発ロビー、搭乗口など、各現場のグランドスタッフ同士での協力が不可欠です。全員でチームとして一丸になって、一便一便を安全に、定刻で飛ばすという達成感を味わえます。
これらの点から、グランドスタッフに向いているのはこんな人だと言えます。
- 接客が好きな人
- 語学が好きな人
- 時間を守り、協調性がある人
4.グランドスタッフの仕事の3つの苦労点
一方、グランドスタッフの仕事の苦労点はこの3つです。
4-1.生活が不規則になる
2章「グランドスタッフの1日の流れ」で紹介したように、早番と遅番のシフトがあるため、生活が不規則になります。早番では午前3時に起き、遅番では深夜1時に帰宅することもあります。就寝?起床時間も定まらず、慣れるまでは負担が大きいでしょう。数年働いていてもこの点が一番きついという人もいます。
4-2.意外と体力を使う
グランドスタッフはイメージと裏腹に、意外と体力仕事です。基本的に仕事中は立ちっぱなしのうえ、受託手荷物対応では重い荷物を扱います。また、搭乗予定の旅客が時間通りに現れない場合は、空港中を走り回って探すこともあるので、基礎体力がないと非常に苦労します。
4-3.クレーム対応が多い
グランドスタッフは良くも悪くも「空港の顔」として、旅客の不満をクレームとして受けることがあります。ときには自分に非がなくても強烈なクレームを受けることもあるので、精神的にも強くなければなりません。
クレームを受けたとき、ただ平謝りするだけではその場は収まりません。旅客の意見を受け止める傾聴力や、正当な理由を説明して納得してもらえるような知識と表現力が求められます。
これらの点から、グランドスタッフにあまり向いていないのはこんな人だと言えるでしょう。
- 生活リズムを崩したくない人
- 体力に自信がない人
- センシティブな(=クレームで心が折れてしまう)人
5.グランドスタッフになるには「英語力」と「精神力」が必要
グランドスタッフを目指すなら、「英語力」と「精神力」が必要です。
5-1.TOEIC?550点以上の「英語力」が必須
グランドスタッフの採用では一定の英語力が応募条件として求められることが多く、その目安は「TOEIC?550点程度または英検2級程度」などとされています。
TOEIC?運営団体によるスコアデータ「TOEIC? Program DATA & ANALYSIS 2023」によれば、2022年度の大学生の平均スコアは588点ですので、応募時点で求められる英語力は高いものではありません。
応募条件はTOEIC?550点程度ですが、実際の業務に必要な英語力は700点でも足りないくらいと言われています。
空港は日本人だけでなく世界各国の人が利用するので、定型的な文章を話せるだけでなく、予想しない質問やトラブル(ときには雑談も)にも英語で対応しなければいけないからです。
※グランドスタッフに必要な英語力や、業務で使う定型的な英語フレーズは、こちらの記事で紹介しています。 グランドスタッフに必要な英語力とは?勉強法や空港放送の例文も紹介 |
5-2.不規則な勤務に耐える「精神力」が必要
グランドスタッフは時間が不規則な仕事です。4-1「生活が不規則になる」でも説明しているように、起床?就寝時間も毎日大きく変わるため、不安定な生活リズムに適応できる力が必要です。
また、4-3「クレーム対応が多い」で説明したように、旅客からのクレームに冷静に対処できる精神力も必要です。真摯かつ適切にクレーム対応ができれば、結果的に旅客の満足度向上につながるかもしれません。
6.グランドスタッフを目指すなら神田外語学院
当ブログを運営する神田外語学院には、グランドスタッフを目指す人に向けて国際エアライン科グランドスタッフコースを設置しています。
国際エアライン科グランドスタッフコースでは、就職活動で必要な「英語力」と「人間力」を磨くためのカリキュラムを組んでおり、毎年約30名のグランドスタッフ就職者を輩出しています。
国際エアライン科2020年3月卒業生の就職先企業(抜粋)は以下の通りです。
6-1.「英語力」を確実に磨く語学専門学校ならではのカリキュラム
創立60余年の神田外語学院では、常に時代を見据えた英語教育を行っています。グランドスタッフの応募基準となるTOEIC?対策はもちろん、就職後にも必ず役立つ実用的な英語力強化を図ります。
応募基準を確実にクリアする「TOEIC?対策」
TOEIC?対策の授業が週2コマあり、習熟度に合わせたクラス編成で着実なスコアアップを目指せます。
神田外語学院2年生のTOEIC?平均点は611点(2023年3月卒業生実績)で、グランドスタッフ応募基準の目安である550点を上回っています。今は英語が苦手でも、努力次第で結果を出すことは可能です。
仕事に必要な会話力を強化する「国際コミュニケーション英語(EIC)」
グランドスタッフの応募基準はTOEIC?550点ですが、本当に英語力が試される場面は就職してから訪れます。仕事の現場では特に、TOEIC?では測れない「会話力」が重要です。
国際コミュニケーション英語(EIC)は1コマ90分×毎週5コマ、外国人教員から英語で英語を教わり、英語力を総合的に鍛えます。授業は20名以下の習熟度別少人数クラス。日本語禁止という環境で、活きた英会話力を身につけられます。
※EICについてはこちらのページで詳しく解説しています。 |
6-2.航空業界出身の教員が担当する「人間力」を磨く授業
教員の多くはJALやANAなどの大手航空会社の元客室乗務員で、就職活動の土台となる人間力を向上させるためのカリキュラムを組んでいます。その一部を紹介します。
イメージコンサルティング
1年次は、表情や所作、身だしなみなどの外面について、周囲に好印象を与えるように磨いていきます。2年次にはマナー?プロトコールの資格取得を通じて、国際人としてより深みのある人間に成長していくことを目指します。
時事研究
?広い視野を持ち、社会の関心を高めることにより社会で円滑なコミュニケーションを取れるようになることを目的としています。毎回、時事問題に関するプレゼンテーションを行います。
美しい日本語講座
接客の最前線に立つグランドスタッフには、英語力以上に日本語力が重要です。高い人間力を表現するための日本語は、一朝一夕に身につけられるものではありません。仕事現場では「お客様に信頼される美しい日本語」も求められているため、授業では日本語検定の取得を目指すほか、合格するエントリーシートの作成トレーニングも行っています。
また、就職活動を支援するキャリア教育センターにも、業界ごとに専門の先生が在籍しており、学生一人ひとりと向き合って指導を行っています。
▲国際エアライン科の授業の様子
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?神田外語学院の教育の特長について以下の記事もご覧ください!
7.まとめ
この記事の内容をまとめます。
■グランドスタッフの仕事を大きく分けるとこの3つ
?チェックインカウンター業務
?出発案内業務
?到着便業務
■シフト制で、早朝?深夜勤務もある
■グランドスタッフのやりがいや魅力はこの3つ
?「空港の顔」として働ける
?世界中の人を相手に接客できる
?チームで仕事をする達成感がある
■グランドスタッフの苦労点はこの3つ
?生活が不規則になる
?意外と体力を使う
?クレーム対応が多い
■グランドスタッフには英語力と精神力が必要
仕事内容や向き不向きをしっかり把握して、グランドスタッフへの一歩を踏み出してみてください。
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