(株)ロッテ?グローバルマーケティング部長が講演 海外事業のリアルと戦略を学生に語る

2025年12月9日(火)、株式会社ロッテ グローバルマーケティング部長?野津健次郎氏を招き、「国際マーケティング論II」の授業にて特別講演が行われました。講演では、ロッテのグローバル展開における取り組みと課題、そして実務家としての視点から語られる国際マーケティングの本質について、数多くの示唆に富んだ内容が紹介されました。
宮内学長による開会の挨拶では、ロッテのスローガン「お口の恋人」に触れつつ、日本では菓子?アイスクリームのメーカーとして広く知られているロッテが、韓国ではホテル事業や小売、化学製品製造などを手がける大手財閥(韓国第5位)である点が紹介されました。

海外事業の歴史から学ぶ、挑戦し続ける姿勢

2006年にロッテに入社し、研究職からマーケティング職へ転身した野津氏は、「雪見だいふく」「クーリッシュ」など数多くのヒット商品に携わってきました。講演では、同社のグローバル事業の歴史を振り返り、米国進出(1978年)以降に設立した海外法人の半数以上が最終的に撤退したという厳しい事実も率直に共有されました。
現在ロッテが運営する海外法人は、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾、ポーランドの5カ国?地域。野津氏は、国際マーケティングのポイントを「どこに進出するか(配置)」と「進出した国でどう活動するか(調整)」の2軸で捉える重要性を強調しました。

アジア市場のダイナミズムと、流通の多様性

講演の中でも学生の関心が高かったテーマが、東南アジア市場における流通チャネルの違いでした。
日本ではコンビニ?スーパー(Modern Trade)が主流ですが、インドネシアやフィリピン、ベトナムでは、**独立系小規模店舗=トラディショナル?トレード(TT)**が売上の約7~8割を占めます。 TT店舗は数十万?数百万店ともいわれ、調査会社ですら実数を把握しきれないほど膨大です。
また、商品の「現地化」も欠かせません。たとえばインドネシアで販売されるチョコパイは、日本のクリームではなくハラル対応のマシュマロが使用されています。高温環境や宗教的要件に合わせた仕様が求められるためです。

成功と新たな挑戦:ブランド再活性化の裏側

野津氏は、台湾?タイでの「コアラのマーチ」再活性化の成功事例を紹介しました。調査の結果、若年層ではキャラクターとしての認知が高い一方で、購入をやめた層には「子ども向け菓子」というイメージが強いことが判明。そこで20代女性を狙った新シリーズ「黒白コアラ」を展開し、ブランドの再定義と売上拡大に成功しました。
一方で、2023年にタイで発売した新チョコレートブランド「ポップナウ」は、強力な競合(ネスレ、ハーシー、マース)に押され、さらに“カカオショック”による原料高騰が重なり、2年で終売を決定したと語りました。
成功と失敗の双方を率直に語る姿に、学生からは強い関心が寄せられました。

学生の声:実務のリアリティに触れて

講演後、受講生から以下のような感想が寄せられました。
●「失敗事例を含めて具体的に話してくださり、企業の意思決定のリアルを知ることができた」
●「ブランドの“再活性化”が、ターゲットの再定義と商品設計で実現されている点が印象的だった」
●「TT(トラディショナル?トレード)がこれほど大きな影響力を持つ市場があることを初めて知った」
●「文化?宗教?気候に合わせて製品が変わる理由がよく理解できた」
●「マーケティングの理論が現場でどのように使われているのかが具体的に理解できた」
●「“スピードとキープゴーイング”という言葉が励みになった」

学生たちのコメントから、今回の講演が知識だけでなくキャリア観や学びの姿勢にも影響を与えたことが伺えます。

学生へ贈られた3つのメッセージ

講演の最後に、野津氏は学生に向けて次の3点を強調しました。

1.マーケティング思考を身につけること
相手(社内外の顧客)が価値と感じるものを理解し、提供する姿勢が大切。
2.右脳と左脳の両利きを鍛えること
ロジックとクリエイティビティの両面を磨くことが求められる。
3.スピードと継続(キープゴーイング)
「誰よりも早く失敗する」ことを恐れず、学び続ける姿勢が重要。

最後に野津氏は、「国籍や文化の違いを越えて、相手へのリスペクトを持って誠実に向き合う“人間力”が、グローバルビジネスの鍵である」と締めくくりました。

まとめ

今回の特別講演は、国際マーケティングの理論と実務を結びつける貴重な機会となりました。学生たちは企業のリアルな挑戦を知り、将来のキャリアを考える上で多くの示唆を得た様子でした。