第44回グローバル?スタディーズにて 農林水産省関東農政局による特別講義を開講

2025年10月29日(水)に行われた第44回グローバル?スタディーズにて、農林水産省関東農政局による特別講義が開催されました。

講義は、「みどりの食料システム戦略の実現に向けて」「関東農政局千葉県拠点の活動」についての取り組みを講義いただきました。

外務省在外公館派遣員を目指す受講生が、「みどりの食料システム戦略」を広く知ることで、日本農業の現状と課題、環境負荷低減の取組、持続可能な社会?経済?食料供給システムづくりに向けた理解を深め、国際社会に進出するための知識を養うとともに、発信していくことを目的としています。

みどりの食料システム戦略の実現に向けて

冒頭に、気候変動や大規模自然災害の増加が農業分野にもたらす影響について、水稲の品質低下や担い手不足による生産基盤の脆弱化など、具体的な事例をもとに説明が行われました。
また、肥料原料の多くを輸入に依存している日本の現状や、国際情勢が食料供給に及ぼす影響にもふれ、受講生たちは「外交」と「農業」が密接に結びついている側面を実感しました。

滝沢 将史氏(関東農政局 持続的食料システム戦略推進官)

日本が国をあげて推進している「みどりの食料システム戦略」は、生産力向上と持続性の両立をイノベーションによって実現することを目的としており、生産から流通?消費までのサイクル全体で環境負荷を低減する取り組みです。さらに、農林水産省を中心に関係省庁が連携し、「みどりの食料システム法」に基づく認定制度や支援策も整備されていることが紹介されました。

関東農政局千葉県拠点の活動

千葉県を拠点に活動する羽賀氏より、地域に根ざした農業振興の事例紹介が行われました。
千葉県は「らっかせい?だいこん?日本なし」など全国有数の農産物を誇る地域であり、「スマート農業の推進」「担い手育成」「農村振興」「6次産業化」など、地域ごとに特色ある取り組みが進められています。
特に、若い世代の担い手不足や所得向上への課題に対しては、効率化や市場拡大などの新たな取り組みが求められていることが共有されました。

羽賀 信行氏(関東農政局千葉県拠点 総括農政推進官)

在学生との活発な質疑応答

講義終盤には学生との質疑応答が行われ、「みどり認定農家のメリット」や「SNSを活用した広報戦略」、「都市開発と農地保全のバランス」など、幅広いテーマで意見交換が行われました。
学生からは「農家が取り組みを積極的に行うメリット」「若者が農業に関わるためには何が必要か」といった率直な質問も寄せられました。
講師の滝沢氏は小さな取り組みでも環境配慮につながる意識を持つことの重要性を語られました。

将来、外交や国際協力の分野で活躍するうえで、日本の農業と環境政策の理解が欠かせないことを実感する貴重な機会となりました。

参加した学生の感想

今回の講義を受けて、在外公館派遣員を目指すうえで重要である「日本」のこと、特に日本の農業について学ぶことができました。講義内容で興味深かったのは、農林水産省が行っている「気候変動」や「農業従事者の高齢化に伴う担い手不足」への対策です。みどりの食料システム戦略に基づいた生産者支援のための「みどり認定」や、消費者意識の変革のための「みえるらべる」は今回の講義を受けるまでは全く知らなかったため、私にとって新しい視点となりました。
また、農業の担い手不足への対策として、経営戦略的観点から日本食の魅力を海外に伝えていき、農業需要を上げるという滝沢氏の思案はとても興味深く、在外公館派遣員を目指すうえで参考になりました。

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久保谷富美男 先生(客員教授)