ソウル在住40年の黒田勝弘先生が語る  特別講義「韓国暮らしで知った韓国語の面白さ」

2024年12月19日(木)に、韓国語専攻教授の浜之上幸先生が担当される「韓国語社会言語学Ⅱ」にて、本学の客員教授である黒田勝弘先生をお招きし、「韓国暮らしで知った韓国語の面白さ」をテーマに特別講義を行いました。
講義の冒頭では、2024年の10大ニュースの上位にランキングされることが予測される2大ニュースについて、解説されました。12月初旬、現職大統領による、韓国では45年ぶりとなる戒厳令布告が国を揺るがす一方、作家ハン?ガン氏がアジア出身女性として初めてノーベル文学賞を受賞し、韓国文学の国際的評価が飛躍的に高まりました。 この2つのニュースについて黒田先生は「ハン?ガン氏の著書 『少年が来る』(2016年発行)は、1980 年に韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件を取りあげたもので、戒厳軍の武力鎮圧によって200人近くの活動家や学生、市民が犠牲になりました。ハンガン氏がノーベル文学賞受賞で注目されている中での戒厳令布告は、光州事件を想起させました。ユン大統領は、そのような空気を読めなかったのではないかと思います」と語りました。
黒田先生が韓国での生活のなかで発見した、面白さを感じる日常表現や気象用語、飲食文化に関連するさまざまな言葉が紹介されました。 韓国語の気象用語:「暴雪」と「暴炎」 韓国語には、自然現象を表す言葉に独自のニュアンスが込められています。例えば、大雪を意味する「暴雪(ポクソル)」は、暴れる雪という漢字語を使用し、人に災害を与える時に使うので、日本でも災害級の大雪が降る場合は「暴雪」を使ってみてはどうでしょう。同様に、猛暑を表す「暴炎(ポギョム)」という表現があるので、日本語の「猛暑」よりもさらに上の「暴暑」という表現を作っても良いかもしれません。 「おまかせ」文化の拡大 韓国では近年、「????(おまかせ)」という日本語が飲食店で広く使用されるようになっています。本来は寿司屋や高級日本料理店で、客の好みに合わせて料理を提供するサービスを指す言葉ですが、韓国では焼肉店やスパゲティ店など幅広い業態で「高級感」を演出する言葉として普及しています。 新たな表現:「イモかせ」 韓国で親しみを込めて使われる「??(イモ)」という言葉は、母方のおばを指します。この「イモ」と「おまかせ」を組み合わせた「????(イモかせ)」が、新しい形の飲食店用語として登場しました。特に女性店員や女将に「美味しいものをおまかせする」という意味合いで使われています。日本語と韓国語がつながっていて、感動しています。
その他、「純豆腐(スンドゥブ)」は本来「水(ス)豆腐」と書き、固まる前のトロトロした柔らかい豆腐のことを指すことや、韓国の焼酎「眞露(Jinro)」がレトロなラベルを復刻させた際に使用した広告“眞露 is back”が社会現象になったことなど、さまざまな例を挙げながら、韓国語や韓国の文化の変化や現象について紹介されました。
次回の黒田先生の講義は、2025年春を予定しています。