活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.86/ブラジル)

田村 悠人さん(2023年イベロアメリカ言語学科ブラジル?ポルトガル語専攻卒)
Boa tarde!
在リオデジャネイロ日本国総領事館で勤務しておりました、田村悠人です。
今回は私が派遣員を目指したきっかけや、リオデジャネイロでの生活についてご紹介させていただきます。

派遣員試験を受験するまで

大学在学中はブラジルへの留学を目指してポルトガル語を勉強しておりましたが、新皇冠体育感染拡大の影響で留学自体がキャンセルになり、途方に暮れていました。そんな中、日本国内で何かできることはないかと思い、ポルトガル語専攻の先生の紹介で在日ブラジル人子弟の教育支援をするブラジル人学校で2年ほど勤務しました。
その中で在日外国人が抱える問題を目の当たりにし、特に子供たちの教育問題を解決したいと思い始めましたが、海外生活の経験がなかったため、100%彼らの立場に立って考えられていない自分にもどかしさを感じていました。
そんな中、在外公館派遣員の制度を知り、海外に住みながら、日本の在外公館で働き、海外にいる日本人の生活や日本との違いを肌で感じたいと思い、受験を決意しました。

リオデジャネイロでの仕事

会計や庶務などを担当する官房班に配属され、通訳などを含む館員支援をメインに仕事をしていました。
主な業務内容は以下のとおりです。

?館用車の手配?管理
?館員の離着任支援(空港送迎や口座開設、身分証の作成)
?外務本省からの調査依頼への回答
?公邸会食新皇冠体育の翻訳
?出張者へ配布する資料の作成
?要人、出張者のアテンド

私が在籍していた期間はG20がリオデジャネイロで開催されたため、多くの政府要人がブラジルを含む南米各国へ来訪し、リオデジャネイロにもたくさんの政府要人が来訪しました。そのため、自分が所属する班以外の館員や現地職員と便宜供与の調整をしたり、総領事館のドライバーへの指示など、館内の色々な人と関わりながら業務にあたっていました。
中でも、総理や大臣などの政府要人がリオに来訪される際は、館員数13人の小規模公館であったため、ブラジル外務省との会議や交渉、空港制限区域内での出入国支援やホテル手配、配車業務など、要人がリオに滞在されるのに必要な手続きを多く担当しました。
特に、多くの政府要人が来訪するイベントは以下を担当しました。

【2023年】
11月 佳子内親王殿下ペルー御訪問(@リマ、クスコ)

【2024年】
2月 G20外相会合(上川外務大臣、@リオ)
5月 岸田総理大臣の南米訪問(@ブラジリア)
7月 G20開発大臣会合(穂坂外務政務官、@リオ)
7月 G20財務大臣会合(鈴木財務大臣、@リオ)
11月 G20サミット(石破総理大臣、@リオ)

これらが大型ロジと呼ばれる要人のアテンドでしたが、これ以外にも数多くの政府要人のアテンドを担当しました。

リオデジャネイロでの生活

ブラジルでの生活はすべてが刺激的で、ブラジル人の暖かさに触れながら、とても充実した時間を過ごすことができました。特に自分はサッカー好きということもあり、週末はスタジアムに行ってサッカー観戦をするなどして過ごしていました。
また、在外公館に在籍していると、日本にゆかりのある著名人と一緒に仕事をすることがありますが、リオデジャネイロにはJリーグ創成期に活躍した元サッカー選手がおり、テレビで見ていたジーコ(元鹿島アントラーズ)とは日本関連のイベントでお会いできたり、ビスマルク(元ヴェルディ川崎、鹿島アントラーズ)とは週末に一緒に試合を観に行くほど親交を深められたりと、仕事以外のプライベートでの時間も、私にとって大きな財産となりました。

これから派遣員を目指す方へ

海外での生活は一見キラキラして見えますが、孤独を感じることも多いです。もちろんブラジルは大好きな国ですし、できることならもっと居たいくらいリオデジャネイロを気に入りましたが、日本にいたら起こり得ないことも簡単に起こるし、きつい、苦しいと感じることも多々ありました。
また、在外公館での仕事は、館によっても業務内容は全然違いますし、人事異動で人が変われば館や班のルールややり方は簡単に変わります。
ただ、そんなときでもその状況を楽しめたのは、「夢」や「目標」ぶらさず、「不自由」を前向きに捉えて楽しめたからだと思います。

派遣員をこれから目指す方、現在目指している方は、なぜ自分は派遣員になりたいのか、派遣員を終えた2年後どうなっていたいのかを考えてみてください。
それがきっとあなたの軸になり、試験や任期中の困難を乗り越えられると思います。
2年という短い時間の中で、良いときも、悪いときも、楽しいときも、苦しいときもきっとあると思いますが、「今」を全力で楽しんできてください!

最後に

大学に入学してから勉強したポルトガル語を使ってブラジルで仕事ができるなんて入学時には想像すらできませんでしたが、久保谷先生をはじめ、新皇冠体育に関わるすべての方々のおかげでここまで成長できたと思っています。
派遣員の任期を終えるまでの間、コロナ禍をはじめ、いくつもの困難がありましたが、その中でも目標を持って前に進み続けられたのは、久保谷先生やポルトガル語専攻の先生方、多くの仲間の存在があったからです。
この先の人生も、きっと多くの試練が待ち構えていると思いますが、この経験を糧にさらに成長し、今までお世話になった方々へ恩返しができるよう、邁進していきたいと思います。

ブラジル連邦共和国

【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:851.2万平方キロメートル(日本の22.5倍)
2. 人口:約2億1,642万人(2023年、世銀)
3. 首都:ブラジリア
4. 言語:ポルトガル語
5. 宗教:カトリック約65%、プロテスタント約22%、無宗教8%(ブラジル地理統計院、2010年)