「外国につながる映画上映会&学生懇談会」開催報告
「外国につながる映画上映会&学生懇談会」開催報告
2023年8月2日水曜午後、KUIS継承語研究グループ(代表?青砥清一先生)?KUIS外国ルーツ学生有志の会?MULCの共催で「外国につながる映画上映会&学生懇談会」を開きました。本学の学生、教職員に加え、同日に開催されたオープンキャンパスに来学した高校生とその保護者も参加してくれました。
この企画では「外国ルーツ」をキーワードに、ことばとアイデンティティ、多文化共生、移民?難民などをテーマにした映画を取り上げて、学内で広く考えるきっかけにすることを目的にしています。それと同時に、KUISに在籍する外国ルーツを持つ学生たちを中心に自由に意見交換ができる場を提供します。
企画第1弾に取り上げた映画『WHOLE/ホール』(川添ビイラル監督、2019年、日本、44分)は、日本(監督の出身地?神戸が舞台)に住む「ハーフ」の青年2人が日常を過ごす中で自身のアイデンティティや出自について葛藤する姿を描くと同時に、日本に暮らす外国ルーツの人々への偏見を浮き彫りにしています。
上映後にはオンライン(Zoom)で川添監督をお招きし、松井健吾先生(スペイン語専攻)の司会で、監督へのQ&Aとフロア全員での懇談会のセッションを行いました。参加者は小グループに分かれ、映画の感想や疑問等をまとめて川添監督に答えていただきました。その後、監督も交えて日本で暮らす「ハーフ」や外国ルーツにまつわる問題について、監督や外国ルーツの学生ら自身の経験談を聞きながら、参加者全員で自由にディスカッションを行いました。
フィリピンルーツの学生からは、使う言語ごとに違う気持ち(日本語はカタくて、英語は明るい、タガログ語はフワッとした感じ)になる、という外語大らしく言語使用に着目した意見もありました。
印象的だった監督の言葉があります。「自分のアイデンティティの葛藤をどうしましたか?」という質問に対して、「アイデンティティというのはずっと考え続けるものかと思うが、できるだけポジティブにするようにしている」。また、「ハーフを題材にした映画を作る際に難しさはありましたか?」と
いう質問に対しては、「答えを出してしまうこと」と。この映画を制作するにあたり元々は「答え」を用意していたがそれは自分たちがすることではないと気づき、あえて観る人にストレートに伝えない作品にした、とも述べていました。
コスパやタイパを上げることがもてはやされる時代にあって、わかりやすさだけを求めず、他者の言葉や小さな声を排除することなく、ともに試行錯誤しながら歩んでいくことの大切さを説くメッセージだと受け止めました。
最後に、KUIS外国ルーツ学生有志の会のメンバー1人からのメッセージを紹介します。
「私たちハーフは見た目は外国人ですが、日本生まれ日本育ちで自分のことを外国人ではない(日本人である)と思っている人もいますし、自分の見た目が周りと違うことでコンプレックス(疎外感)を感じている人もいます。なので、ハーフの人がいても驚かないで欲しいし、公共の場でも凝視してこないで欲しいです。疎外感を感じてとても悲しくなります。」
僕たちが外国語を学ぶ意義の1つは、こうした偏見による分断を乗り越えるための力を身につけることにあると思います。
今後もさらなるイベントを企画していきますので、乞うご期待ください。
映画『WHOLE/ホール』の情報
映画SNSによる上映会報告の投稿
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