活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.71/インド)
元在チェンナイ総領事館派遣員の若松 佳那さんをご紹介します
在学中、毎期ほぼフルで単位を取得しながらチューターとしても活動し、文句の付け所のないくらい充実した大学生活を送っていた反面、卒業してからなりたい自分像や、やりたい仕事がみつからず一抹の不安を抱えながら過ごしていました。そんな気持ちのまま就職活動を始めようとしたころ、ふと「在外公館で働けるなんてかっこいい」と入学前説明会で母と交わした会話を思い出し、2年間の任期で英語を使って仕事ができるなら挑戦してみようと思ったのが派遣員を目指したきっかけです。
計3回も試験を受け、卒業と同時に在チェンナイ総領事館に合格が決まり喜んだのもつかの間、当時のインドは1日の新規感染者数が40万人を越える新型コロナ感染第2波の真っ只中でした。そんな状況下でも不思議と不安はなくワクワクした気持ちで出発したものの、外出規制などのロックダウンに加え、生活の立ち上げに必須な銀行口座の開設、さらにはビザの延長にも普段の倍以上時間がかかり、先行きが心配になったころ1年先にインドに赴任していた神田外語の先輩派遣員に助けて頂き、とても心強く感じたのを覚えています。最初の1年は隔日出勤で自宅にひとりでいる時間が長く、思ったような生活や仕事ができないもどかしさで悩むこともありましたが、その度に一緒にインドに赴任した同期や同じ神田外語の先輩?同期に支えられ、コロナ禍でも常に前向きでいることができました。
2年目からは毎日出勤できるようになり、業務の幅も広がり通常の官房業務(配車?出張手配?会計業務)だけでなく広報?文化にも少し関わらせて頂けるようになりました。高校時代に茶道部に所属していたことを総領事が知っていてくださり、公邸での亭茶や管轄地域内での日本文化イベント、チェンナイジャパンエキスポでお茶を披露することができ、日本の伝統文化を海外に広める機会に携われることができたのは、この2年間での一番の思い出です。高校卒業時に茶道の専門学校入学を断念した過去があるのですが、実際に海外での茶道への反響や興味の高さを肌で感じ、この経験が、この先本格的にお茶の道に進もうと決断するきっかけにもなりました。一度諦めた夢を再度みさせてくれた上司には感謝しかありません。
派遣員を目指してから今日までの約3年間、振り返ってみれば常に周りの人に恵まれ、支えられ、コロナ禍のインドという厳しい環境の中でも2年間の任期を全うすることができました。大学生活中にはみつからなかった将来進みたいと思える道もみつけることができ、私にとって派遣員を目指してからの3年間は人生の大きなターニングポイントで、チェンナイで過ごした日々はかけがえのない宝物です。
偶然派遣員制度を思い出し、偶然チェンナイに赴任することになりましたが、これらの出来事に対し消極的になっていたらここまで充実した2年間は送れていなかっただろうなと感じます。もし進路に迷っている方がいたら、「Planned Happenstance」を忘れずに、目の前の偶然を大切にしてみてください。今まで培ってきた経験がどこかで役に立ち、花開くときが必ずくるはずです。
みなさんの日本、世界でのご活躍を応援しています。
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