活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.16/バーレーン)
“活躍するKUIS在外公館派遣員たち”というテーマで、赴任中または帰国後の様子を紹介するシリーズ第16弾。
元在バーレーン日本国大使館派遣員の栗原早紀さんをご紹介します
人生の大きなターニングポイント
「バーレーンに赴任してください」と言われたとき、頭の中は真っ白になりました。当時はちょうどISILが勢力を伸ばし、報道でも連日取り上げられており、「中東=危険でよくわからない国」としか思っていなかった地域にまさか赴任するとは思っていませんでした。アメリカやヨーロッパを赴任地に希望していた自分にとって、これから中東で3年間生活をすることは想像もできず、当初は不安だらけで赴任を辞退することも考えていました。悩みながらなんとか飛行機に乗り、すぐに派遣員を辞めて帰ってくるかもしれないと思いながら赴任したバーレーンでしたが、20代前半の貴重な3年間をバーレーンで過ごした経験は、人生の大きなターニングポイントになりました。
大使館での所属は官房班で、運転手への配車指示や現地業者との調整、出張者のアテンド等が主な業務でした。大使館は人数も多くないので、他班の仕事を手伝うこともあり、様々な仕事をすることができました。社会人経験が全くない私でしたが、前任や上司がとても丁寧に仕事を教えてくれ、語学を使いながら海外で仕事をすることに、楽しさと充実感を感じていました。派遣員は「縁の下の力持ち」の業務が多いですが、それでも勉強した語学を使い、外交の最前線で働いている方のサポートをできることにとてもやりがいを感じました。任期が終わる頃には河野外務大臣がバーレーンに訪問なさり、初めて大臣ロジを経験しました。また、安倍総理大臣がエストニアとアブダビに訪問なさった際に、応援出張に行ける機会も頂けました。プライベートも充実しており、休日に大使館の現地職員にバーレーンを案内してもらい、アラブ料理を堪能したり、近隣の中東諸国をはじめとする様々な国に、同期の派遣員と旅行したりしました。仕事や生活がとても充実していましたが、困ったこともありました。日本ではすぐに終わりそうな仕事が、バーレーンでは時間がかかり、催促しないと締め切りを過ぎることもしばしば。遅刻してくるのは当たり前で、1時間以上待ったこともありました。
生活面では、宗教上の理由から豚肉がなかなか手に入らなかったり、ラマダン(断食月)期間中は普段はお酒が飲めるお店でも、お酒の提供がなかったり、日中は飲食店がほぼ閉まっていました。また、気候も厳しく、1年のうちほとんどは夏で、日本の夏など比ではないほど猛暑と湿気に見舞われました。ですが、日本から地理的にも文化的にも遠いバーレーンで3年間生活し、肌でイスラム教やアラブの文化を感じ、体験できたことは一生の財産になりました。派遣員としてこの国に赴任しなければ、バーレーンの地を踏むことはなかったかもしれませんし、中東について知見を広められる機会もなかったかもしれません。また、慣れない土地で知り合いもいない中、仕事を覚え、生活したことで自分の可能性を大きく広げられたいい機会になったと感じています。
これから赴任する派遣員の皆さんの中には、希望していない国に赴任したり、海外生活が不安で悩んだりする人もいると思いますが、思い切ってそこに飛び込んでみたら、自分が想像もできなかったような素敵な出会いや経験がたくさん待っているかもしれません。最初は慣れない仕事と生活の日々が多少続くと思いますが、健康に気をつけながら、派遣員としての2年間、楽しみながら頑張ってください!
バーレーン王国(Kingdom of Bahrain)
【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:769.8平方キロメートル(2012年中央情報局。東京23区と川崎市を併せた面積とほぼ同じ大きさ)
2. 人口:150.3万人、うちバーレーン人は69.0万人(46%)
3. 首都:マナーマ市
4. 民族:アラブ人
5. 言語:アラビア語
6. 宗教:イスラム教
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