IOM(国際移住機関)「移住映画で学ぼう!多文化共生」キャンペーンによる授業を実施
2022年5月20日(火)、31日(金)の2日間にわたり、グローバル?リベラルアーツ学部「国際機構論」「グローバル?ガバナンスI」、外国語学部「国際機構論IB」の授業(担当教員:高橋麻奈)にて、国際移住機関(International Organization for Migration: IOM)による「移住映画で学ぼう!多文化共生」キャンペーンを活用したワークショップを実施しました。
今回のワークショップでは、IOMによる「国際移住映画祭」で上映された短編映画『オフサイド』を観て、グローバルな「人の移動(移住)」とはどのようなことなのか?関連する課題は何か?グローバル社会の責任とはどのようなことなのか、について理解を深めました。その後、「映画の中で特に印象的だったシーンは?」や、「共生社会の実現は可能か?実願させるためには何が必要か?」について、参加者全員でディスカッションを行いました。
授業の終盤では、オフサイド』のコジマ?フライ監督のインタビューを視聴し、この物語に込められたメッセージや背景について考察を深めました。
学生たちからは、以下のようなコメントがありました
「今自分が生きる社会の中で、自分をしっかりととらえるとともに相手を受け入れることを意識して過ごしたい」
「本来の居住地を離れて生きることの難しさ、自分という存在を守ることの大切さを感じた。(コジマ?フライ監督の)インタビューの中で、「自分のルーツを覚えていないということは、その人らしさを失うことにもなる」と言っていて、宗教、名前、国籍などはその人を確立させ、そして守る大切な存在なんだと思った。」
「映画オフサイドを見て、移民(特に難民などの何かしらの理由があって国を追われている人々)は移動先の国で必ずしも人間らしい生活が確保されているとかは限らないということに気付かされた。もともといた国よりは安全であり、住む家もあり、食べ物にも困らないかもしれないが、自分のアイデンティティを尊重されるのかという点では必ずしもそうとは限らない、という意見も出て、とても納得した。移住できたということを終着点にしてしまうのでは無く、その後どんなサポートを続けられるか、どうやって新しい土地に馴染んでいくのかなど、新しい場所での生活など、持続可能な支援が必要だと強く感じた。」
「多文化共生は決して簡単なことではなく、無意識に上下関係が発生してそれを認めてしまっている状況があると考えた。つまり対等な関係ではなく、受け入れる人々がきた人々(受け入れられた人々)を見下し、きた人々は自分のアイデンティティ(自尊心?誇り)を下げて受け入れられようとするので、ますます差が広がってしまっているのではないかと考えた。」
「受け入れる側だけではなく、受け入れられる側のどちらもお互いに関心を持って寛容になることが大切だと学んだ。また、あくまでも他人であるということを忘れずに意識することで、「移民」として接するのではなく、その人がどんな他人なのかという姿勢で接することができるのではと思った。」
グローバル社会においては、国境を超えて「人が移動する」ということは、特別なことではありません。また、その背景には、紛争や災害などの非自発的な理由も含めた様座な理由で、国内?国外を問わずに移動を余儀なくされるケースもあります。移動する側として?受け入れる側として、どのような課題が生じるでしょうか。私たち一人一人には、どのような責任があるでしょうか。決して他人事ではない課題に対して理解をし、またそれぞれの考察を深める大変貴重な機会となりました。
◆国際移住機関(IOM)とは
国際移住機関(International Organization for Migration: IOM)とは、世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う唯一の国連機関です。