「勇気というか、最初の一歩を踏み出す力がついたかなと思います」帰国後のインタビューで成長した部分を尋ねると彼女はそう答えた。
「元々自分では人に声をかけることに抵抗感がない方だと思っていましたし、人見知りもしないから大丈夫だと思ってスリランカへ行ったのですが、やっぱり営業になると仕事なんだ、と身構えてしまう部分がありました。もし自分の一言によってこの会社から悪い印象を受けてしまったらどうしようと考えると、自分でも意外に最初の一歩を踏み出すことに躊躇することがありました」
前回のインタビューの際には、「もうやるしかない」と開き直れたことが大きかったという話も出ていたが、帰国後に振り返るとまた別の視点が生まれたという。
「一日営業活動に出て帰ってくると、講師とインターンシップ仲間と反省会を兼ねた報告会が開かれます。その時に他の人の意見やコミュニケーションの取り方を聞いて、こういうコミュニケーションの取り方が効果的なんだ、こういう英語の方が伝わりやすいんだ、ということに気づかされます。でもそれらがあったからこそ、明日は別のやり方を試してみようという気持ちが生まれ、話しかけることに躊躇してしまっていた自分が、内から少しずつ変わっていったような気がします」
インターンシップに取り組んでいる最中の振り返りも非常に重要だが、改めて少し時間をおいてインターンシップ全体を振り返ると、新たな気付きがあったようだ。せっかくなのでインターン終了後の感想と楽しかった所、大変だった所を改めてインタビューしてみた。
「まず参加して良かったという気持ちが一番の感想です。街中での営業を英語で行うということは日本では経験できないことだったと思います。毎日が楽しくて、つまらないなと思うことは一切ありませんでした。スリランカという国自体、文化に自由さを感じることが多く、過ごしやすかったです。日本は良い意味でも悪い意味でも様々なことで決まりがあって、しっかりしていることが多いので、自由なスリランカに魅力を感じたのかも知れません」
日本を出てみて文化の違いを肌で感じられることも、このインターンシップの大きな魅力だろう。特に現地の人と多く接する機会があり、ビジネスの現場を体験するので、ただの旅行よりそのコントラストがはっきりと見える部分も大きいはずだ。仏教やヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教など、様々な宗教文化が入り混じっていることも、そのコントラストの違いをより大きくしている。
「一番大変だったのは、やはり言葉が通じない時ですね。英語は大体の場所で使えるのですが、公用語はタミル語とシンハラ語。英語をそこまで得意にしない人もいるので、お互い第二言語として話す人同士、意思疎通の面で大変さを感じる時がありました」
やはり大変な所は言葉の問題のようであった。しかしビジネスの世界でも英語圏の出身でない限り英語が完璧ではなく、英語圏出身者同士でも訛りがあるとうまく意思疎通ができない時もある。本当にグローバルな環境で英語を使うということは、お互いの前提を理解しあった上で、情報を補完しながらコミュニケーションをとっていく、ということなのだろう。
インタビューの最後に、このプログラムに今後参加する人へ向けたメッセージがあるか尋ねてみた。
「英語を使って仕事をしてみたい、海外で働いてみたい、という人たちに経験してみてもらいたいです。まさにそれが実際に体験できるので、本当に自分が挑戦してみたいことと思えるか、正しく理解ができると思います。また目標や夢が見つからない、という人たちにもお勧めしたいです。私にとってこのインターンは、自分が今まで送ってきた生活であったり、考え方?価値観の違いだったりを見直す良い機会になりました。こういう考え方もあるんだ、こういう風にこれからやっていきたいな、という新たな考え方や視野の広がりを感じられると思います」
笑顔の中に真剣な眼差しを持ちながら語る彼女の顔には充実感が見えた。実はインターンシップから帰国した後、彼女はカンボジアでの現地就職先を見つけ、神田外語学院を卒業後、本当に海外で働くことになったのだ。そのモチベーションがきっと溢れ出ていたのかも知れない。
「海外で孤児院を開くことが夢」と語る彼女は、インターンシップでの経験を糧に、まずはカンボジアから一歩一歩夢に近づいていくに違いない。
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