奥原 来未さん、大胡 光さん、西連地 捷成さん(MUTOHホールディングス)
日本のものづくりを世界へ。ソフトもハードも手がけるMUTOHホールディングスで活躍する3名の卒業生へインタビューを行いました。
奥原 来未さん(ムトーアイテックス株式会社)KUIS英米語学科2014年度卒業(写真右)
大胡 光さん(武藤工業株式会社)KUIS中国語学科2014年度卒業(写真中央)
西連地 捷成さん(武藤工業株式会社)KUIS英米語学科2015年度卒業(写真左)
自己紹介
奥原:2014年度英米語学科卒業の奥原来未です。サークルは国際スポーツ交流会に所属、音響担当をしていました。今はムトーアイテックスのシステム本部になります。池尻開発センターで2年目です。
大胡:2014年度中国語学科卒業の大胡光です。学生時代は特にサークルに所属はせず、台湾への留学費用を貯める為に、フリーター並みに一生懸命アルバイトをしていました。現在は、武藤工業でLFP事業部の国際営業部に所属しています。
神田外語アソシエイツ(以下KGAI):こちらでは中国担当と伺いましたが担当の国はありますか?
大胡:担当はまだ持ってません。今は主に、アジア関係で中国と台湾のサポート業務をしています。業務は主担当のサポートで、お客様と連絡をとったり、製品を出荷するときの書類作成ですね。
西連地:2015年度英米語学科卒業の西連地捷成です。学生時代は野球部で主将や部会委員会の委員長をやったことが思い出です。勉強よりも課外活動のウェイトが重かったです。
お仕事について
KGAI:奥原さんは、何故システムをやりたかったのですか?
奥原:最初に入ったのは、国産メーカーのグループ会社、ムトーエンジニアリングでした。私はアメリカ留学時、国産で世界に商品を売っている会社に魅力を感じてムトーエンジニアリングに入社しましたが、ハードウェアの次はソフトウェアに行こうという感じになり、今年の4月からIT部門のムトーアイテックスに入社しました。
KGAI:部門異動ということですか?
奥原:部門ではなく、グループ会社への転籍です。(MUTOHホールディングス - ムトー工業 - ムトーエンジニアリング - ムトーエンタープライズ - ムトーアイテックス - ムトーフィギュアワールド)
KGAI:ものづくりとはどのようなつながりですか?
奥原:アメリカが初めての海外渡航先で日本以外は全く知らない状態でした。留学を通して、日本のものづくりの良さをひしひしと感じました。日本の技術は質が高く便利だと感じたので、それに関連する仕事に就きたいと思いました。
KGAI:何故ムトーエンジニアリングを選んだのですか?
奥原:MUTOHは国産ブランドとして自社開発の3Dプリンタを販売している点に魅力を感じたからです。弊社の3Dプリンタは自社開発の国産3Dプリンタです。3Dプリンタのシェアのほとんどはアメリカとイギリスで、日本の3Dプリンタ企業は販売をしていても海外の3Dプリンタ代理店としてやっている事が多いんです。
KGAI:それでムトーエンジニアリングで1年働かれたんですね。具体的にどんなことをされていたのですか?
奥原:当時は事業統括室に所属しており、主に全国の営業さんの売り上げを上げるためのお手伝いをしていました。企画や販促みたいな感じですね。カタログを作ったり新着情報の掲示、展示会の出展サポート、展示会でお客様に説明をしていました。
KGAI:マーケティングですか?
奥原:それに近いですね。
KGAI:企画室マーケティング、かっこいいですね!
みんな:すごーい、いいなー!
KGAI:なにか資格を取られたと伺いましたが。
奥原:Web解析士という資格です。
大胡:なんかお堅い感じですね。
奥原:マーケティングに近くて、ウェブの中のマーケティングを分析し、HPにどんな人、どのくらいの人数、どんな目的で来ているのかという把握しにくいものを数値化し、売り上げアップやどうしたらもっと見てもらえるのかを分析してアドバイスする資格です。
大胡:かっこいいです!
KGAI:大胡さんは、何故この会社を選んだのですか?
大胡:就職活動中は、大学のキャリアセンターに通って色々相談をして、自分に一番あっているのがメーカーだとわかりました。
奥原さんと似てますが、商社や代理店だと仕入れ中心なので愛着がわかないかなと。自分の会社が作っているものなら一生懸命売りたいという気持ちが一層強くなると思いメーカーを選びました。
弊社は高価なプリンターを作っていますが、高価だからこそより親密になってできるし、お客様の喜びも自分の喜びももっと大きいのかなと。それでメーカーでより高額な製品を扱うこの会社に決めました。
KGAI:価格はどのくらいしますか?
西連地:大判プリンタは高い物で本体価格が600万から80万円でしょうか。600幅の小さいものや、大型の看板用2600幅のものがあります。
大胡:学生時代に大手衣料品店でアルバイトをしていた時、販売員と営業って違うなって思ったんですよ。
KGAI:どんな時にそう思ったんですか?
大胡:例えば、ワイシャツを買ってボタンが取れたとします。ワイシャツを購入したお客様は販売した販売員より受付窓口にクレームを言うと思います。営業は一人ひとりにきめ細かく対応できますので、そのような場合は受付窓口より私に電話すれば早く対応してくれるかもしれなど、お客様との距離を近くに感じていただくことで信頼関係が生まれると思います。
販売員だとお客様との信頼関係の必要性をそこまで感じることがありませんでした。特に大手で巨大な売り場だと一回限りの付き合いがほとんど。それが嫌だったんですね。販売しておしまいじゃなくて、アフターフォローもしたかったので、販売員ではなく営業がいいと思ったんです。
KGAI:お客様との深い関わりを持ちたいということですね。販売員だと流れ作業みたいなところがあると思います。しかし高額な商品の場合、お客様との信頼関係がないと売ることは難しいです。それこそ先程のソリューションではないですけれど、売りつけるわけではなく、お客様の課題を製品で解決するというお手伝いをするのが営業のお仕事ですよね。そのあたりが高額なものの方がより深いわけですよね。車はどう思いますか?
大胡:車は営業でなく、販売員の仕事だと思います。ジュエリーも目指したことあったのですが、結局販売なんですよね。
KGAI:メーカーだったらより深い関係を築く深耕営業ですよね。
大胡:そうです、なのでメーカー。また、弊社は日本初のドラフターを作っていて歴史が深いんです。そこも魅力でした。
KGAI:確かに、歴史が深いとブランド力や安心感みたいなものあります。
大胡:そしてやっぱり一から日本で作ってるメーカーがよかったんです。
KGAI:それは、奥原さんも共感できるところですか?
奥原:はい、すごい共感できます。工場も日本にあるので、まるまる国産という感じです。
KGAI:それこそ、日本の良さみたいなものがギューっと詰まって凄いですよね。
御社のドラフターが、スーパーカブとか日本の工業製品を支えたと伺いました。
西連地:コマツのショベルカーとか新幹線とかもですよね?
奥原:機械遺産に認定されています。
上司:当時の世界のシェアでも5割程はあります。
大胡:今でも台湾で売ってますし、注文来てますよ。
KGAI:そうですか、CADが発達していてもなお売れるんですね。
大胡:電子化が進んでいても、学校などで行う基礎演習は手書きです。
西連地:2次元のイメージが出来なければならないので、2次元と3次元どちらの勉強も必要です。実は事業移管でドラフターの部署がうちの部署に移動して来たのをきっかけに、お互いの部署のことを知る為のセミナーがありました。
KGAI:日本のものづくりというところが1つ大きくあって、更に川上から川下まで全部やっているという所が大きなポイントだったんですね。
KGAI:西連地さん、このお仕事の魅力と出会いを教えてください。
西連地:僕も大胡さんと同じでキャリアセンターに通っていたんです。多分、同じ方だと思うんですよね。栂野さんという方です。栂野さんがすごく面倒を見てくださって、長時間相談してもらってたんです。その中で、栂野さんがここで以前働いていたとお話を伺ったんです。それで紹介されました。それまでは、どんなところで働きたいとか何をしたいとか、あんまり自分の将来について考えていませんでした。
改めて自分の強みを考えた時に、まず英米語学科なので英語を使いたいというのがありました。あとは、研究科目でコミュニケーションを専攻していて、アルバイトで接客業をしていたというのもあり、お客様とコミュニケーションをとることが好きでした。それを栂野さんにお話をしてこちらを紹介されました。
国際的なスキルやコミュニケーションも使えるというのを考えた時に、やってみようかなって思ったのが出会いでした。
KGAI:栂野さんとの出会いが、今のお仕事との出会いだったんですね。
西連地:そうですね。栂野さんがとてもよくしてくださいました。その中で色々お話を聞いて、いいところだな、やってみようかなっていうのが最初のきっかけでした。父もメーカーで働いていて、今は海外で働いています。父みたいになれたらいいなっていう憧れがあるんです。今はその土台作りです。
KGAI:お父様の背中に憧れがあったんですね。
西連地:実は、僕は3歳から9歳まで6年間アメリカで生活してました。アメリカで仕事をしている父に対し大変だなと思う反面、凄いなと思うところもあったんです。日本に家を建てて15年経つんですけれど、5年くらいしか住んでないんですよね(笑)。
KGAI:いわゆるマイホームを建てたのに、ずっと海外に行ってるんですね。
西連地:そんな父に対してどこか憧れがあるんですよね。それで、国際営業部に入りたかったんです。大胡さんも去年まで国内営業部だったので、わかると思います。
KGAI:大胡さんも国内営業部だったんですか?
大胡:そうです。入社当時は国内営業部で、今年の4月から国際営業部になりました。私の場合、強く希望したわけではないのですが、やっていくうちに国際営業部の魅力を感じるようになりました。
KGAI:なぜ異動したいと思ったんですか?
大胡:きっかけは展示会があって、中国やフィリピンなどのアジア圏のお客様が来るんですね。その際に接客をしていて、勉強していた中国語を使う機会があったんです。専門用語やビジネス中国語は分からないですが、中国語を使ってお仕事をしたいなって思いました。国際営業部は、主にメールのやり取りは英語なんですが、中国語の翻訳などの仕事もあります。例えば、日本にはないけれど、外国では売っている他社製品のカタログや現地の特価広告の翻訳もあります。
KGAI:ということは、中国語と英語と日本語の3カ国語を使っているんですね。新皇冠体育の鏡ですね。どうですか、今のを聞いて西連地さん。
西連地:大胡さんは日本にいながら海外と仕事をしていますが、僕は現地に行って仕事をしたいですね。現地の営業とかエンジニアの修理とかをやりたいです。
KGAI:やはりお父様の影響は強いですね。
西連地:そうですね。大きいです。
KGAI:向こうで具体的に何をしたいですか。
西連地:弊社の国際営業で現地にいる方の仕事って具体的に何をしているのかをあまり知らないのですが、今の感じでいたいというのはあります。あいつに任せておけば大丈夫と言われるようなメーカーの人でありたいし、お客様と良い関係を築いていきたいです。たとえ現地に赴任した時も、今と同じようにお客様に使い方を説明したりとか、他の人と違った提案をしていきたいです。実はこんな使い方もありますよっていう説明までしたい。
KGAI:日本でやっているお客様の問題解決を世界中どこでもやっていきたい、と。
西連地:そうですね、このまま海外でやってきたいですね。お客様と触れ合っているのは好きですし、日本での実務のように海外でもやっていきたいです。
今後の展望について
KGAI:皆さんまだ入社されて2年目、もしくは1年も経っていないくらいなので、目の前のことに精一杯かもしれませんが、今後の展望について教えてください。
西連地:私は、最低3年は国内で下積みした方がいいかなと考えています。そしていずれ海外に行きたいです。
KGAI:いま、23だから26歳には行きたいところですね。
西連地:早ければ早いに越したことはないですけれど。
KGAI:行けるとしたら、いつに行きたいですか。
西連地:行けと言われれば、すぐにでも行きます!
KGAI:チャンスはいつ来るか分からないから、来た時に掴まないと。
西連地:上司からは3年くらいとは言われてますね。
KGAI:確かに、日本で学んだ方が早かったりするのかもしれないですね。
西連地:機械の使い方とかは日本にいた方がいいですね。
KGAI:そうですね。工場も近いし早いと思います。虎視眈々と狙っているわけですね。
西連地:いつでも(笑)。
奥原:頼もしいですね。
大胡:是非是非、たくさん出て行って欲しいですね。
KGAI:武藤工業さんの海外支店は、アメリカとカナダと。
奥原:カナダにはありませんが、今は北ヨーロッパ、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、シンガポール、北米ですね。
西連地:詳しくはパンフレットを。
KGAI:すごいですね。
KGAI:それでは大胡さん。お願いします。
大胡:国際営業部に移ってから1年目なので、仕事の流れを頭に叩き込んでいるところなんです。来年からは営業マンとして台湾、香港などの中国圏の代理店を持って仕事をしていきたいですね。
KGAI:信頼関係を築けて、深耕営業のできる営業マンですね。
大胡:はい、頑張りたいです。
KGAI:素晴らしい目標ですね。現地でということですか?
大胡:いえ、日本にいながらということです。中国や台湾の展示会とかがあったら、日本からプランを考えてアクションしてもらうような感じです。中国語が使える代理店を担当していきたいということですね。
西連地:架け橋ということですね。
大胡:時差もないですし、レスポンスよく対応していきたいですね。
KGAI:代理店に対する営業になるんですか。
大胡:そうです。代理店営業の比率が高いですね。入社前に思い描いていた形とは違うのですが、代理店営業も魅力はあります。
KGAI:一緒だと思いますよ。代理店の方との信頼関係がないと大変なことになりますから。代理店の方と仲良くなれば、ニーズだって聞けます。自分の分身が向こうにいる感じですよね。
KGAI:奥原さん、いかかですか。ソフト開発をなさいますか?
奥原:今後できれば。今は4月からソフト、ITの会社に入って、今はまだ営業というよりも営業支援という形でやっているので、近々で言えば、早く一人前になりたいです。
もともとITって私は疎く、むしろ敬遠していたんです。ITやソフトって聞くと難しいというイメージがあったんですけれど、お客様からお話を聞いたり、展示会を見たりしていくうちに、ソフトやITってビジネスにおいても日常にも密接な関わりを持っていると感じたんです。なので、私みたいに敬遠しているお客様に、ソフトの便利さや分かりやすいものなんだよって伝えていきたいです。あと、ハードも1年やっていたので、ハードとソフトを組み合わせる何かを提供していきたいですね。
KGAI:ハードとソフト両方分かるってすごい強みなんですよね。だいたいどちらか一方になります。
同年代の皆さんにメッセージをお願いします!
KGAI:最後に、同年代の皆さんに向けて意気込み?エールを一言お願いします。
西連地:嫌なこともあると思いますが、何事も楽しむ、楽しいことを探していくということが大切だと思います。そうじゃないとやっていけないじゃないですか。みなさんも全力で仕事楽しんでください。僕も仕事を楽しんでいきます!
大胡:もしかしたら今日いきなり、大地震が起きるかもしれないじゃないですか。明日、会社に来られないかもしれない。明日来てお客様にメールで返答すつもりが、来られなくなったらお客様が困ってしまうじゃないですか。だから、出来ることは今日やらなきゃいけないんですよね。
KGAI:全力投球している時ってなりふり構っていられないですもんね。そういう姿ってかっこいいと思います。
奥原:考えたんですけれど、固定観念を持たないことが大切なんだなと社会人になって改めて感じました。入社前は、留学もして英米語学科にいたので、英語関係の仕事に就きたいという気持ちもありました。でも実際に社会人になってわかったのは、英語を使う以上に大事なものや、やらなきゃいけないことってたくさんあるということです。
大学時代は、まさか3Dプリンターをいじったり、直したり、組み立ててセットアップするとは思っていなかったし、まさか自分の口からITとかWebという言葉が出るなんて思ってもなかったんです。
私は英語をやりたいのになんでって悲観的になるよりも、あっちの分野もこっちの分野も出来るんだっていう捉え方次第だなと思うんです。
同級生とか卒業生とかに会ったりする機会があるのですが、そういう事で悩んだり、諦めちゃう方が多いんですよね。だから、捉え方を変えて、固定観念を持たずに多面的に見ていければ、面白い発見も出来て、楽しんでいけるんじゃないかなって思います。
KGAI:あえて語学を使わなきゃっていう固定観念を取り払ったら、違ったものが見えてきたんですね。
奥原:実は私は通訳翻訳過程だったんです。私はTOEIC900に届かなくて証書は貰っていないのですが、その中で、その固定観念を取り払ってくれたのが柴原先生でした。
その先生がよく言っていたのが「Learn from everything」で直訳すると「全てを学びに」です。知識は蜘蛛の巣のように広げなさいとか縦の線だけじゃなくて、横の線も張りめぐらせる事が大事なんだ等色々教えてくださって、柴原先生のおかげで固定観念が無くなりました。
本当に柴原先生に感謝しています。
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KGAI:皆さん今日は、本当にありがとうございました。
(記事は2016年10月取材時のものです)