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東ティモールという魅惑の扉

2021/10/18

皆さん、東ティモールという国を知っていますか?外大で学ぶ醍醐味は、普段の生活では知ることのない国や地域に触れることで、あなたの世界が広がっていくことにあります。今回は、ポルトガル語を公用語とするアジアの国、東ティモールをご紹介します。

まず、東ティモールがどこにあるか、地図で確認してみて下さい。インドネシアとオーストラリアという二つの大国のあいだに、ティモール島がありますね。この東側が東ティモールです。そして島の西側はインドネシアの一部です。これだけでも、もう不思議な国ですね。

 

ポルトガルの植民地だったこともあり、2002年に独立国となるときにポルトガル語と地域言語テトゥン語が公用語となりました。お隣の二つの大国の言語、インドネシア語と英語も作業語として使われています。

というわけで、街中でもいくつかの言語が併記されています。

下の3行は同じ内容が、テトゥン語、ポルトガル語、英語の順で書いてあります。

テトゥン語の行に「VIOLENSIA」(暴力)とありますね。これはポルトガル語からの借用語です。ポルトガル語話者の私はテトゥン語を聞いても理解できませんが、テトゥン語はポルトガル語からの借用語が多いために新聞などはなんとなく意味がつかめたりします。

わざわざ外国語を使わなくても、地元のテトゥン語だけで十分では?と思うかもしれません。地域言語であるテトゥン語は東ティモール人全員が分かる言語ではなく、実はたくさんある地域言語のうちの一つなのです。たくさんの地域言語と、ポルトガル語、英語、インドネシア語。とても小さい国のなかに複雑な言語状況があります。これだけでも日本人には大きなインパクトがありますね。知れば知るほど、面白い国です。

 

いろんな国の影響を受けているので、食文化も豊か。地元の料理のほか、中華だったりポルトガル料理だったり、ブラジルでよく食べるパッションフルーツのムースだったり。調査での滞在中、私はいつも食事を楽しみにしていました。

海岸沿いでは、海鮮を売る屋台も並んでいます。いくつか選ぶと、炭火で温め直してくれます。

道路沿いでは、軒先で民芸品が売られています。

民芸品を見ていると、子どもたちが照れながら近寄ってきました。

彼らはポルトガル語でもテトゥン語でもない言語を話していたので、残念ながらあまり会話はできませんでしたが、笑顔だけでもう十分。

日本人にとってあまりなじみのない東ティモールは、とても魅力的な国です。と同時に、過酷な歴史を持つ国でもあります。興味を持った方はぜひ、新たな扉を開いてみてください。

 

文&写真 奥田若菜(ブラジル?ポルトガル語専攻教員)