はじめまして。韓国語専攻2014年卒業生の清水要太です。KUISを卒業後、専門学校へ通い、現職につながるホテル業界に就職しますが、今回は、これまで経験してきたことを自身の振り返りの意味も込めてご紹介したいと思います。少しでもこの業界に興味を持っている方々の一助となれば嬉しいです。
「本当は何がしたいのか?」を自問自答
在学中のことです。将来の職業について考える際、最初からホテル業界を目指していたわけではありませんでした。初めは外国語(特に韓国語)が使える仕事なら何でもいいと考え、ただ漠然と就職活動をしていました。それでも、4年の夏にはお菓子メーカーから内定をいただきましたが、なぜか、改めて「自分は本当は何がしたいのだろうか?」と将来を真剣に考えるようになりました。
模索を続ける中、コンビニや飲食店でのアルバイト経験を通じて触れた接客の楽しさから、「人と関わる仕事で、なおかつ外国語が使える仕事に就こう」と思い立ち、それならばと、ホテル業界に進む決意をしました。
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しかし、この時点ではほとんどのホテルが既にエントリーを締め切っており、自分の英語力にも自信が持てなかったため、方向性が決まったとしても、もう少し準備期間が必要だと感じるようになりました。そこで、両親に相談のうえで、大学卒業後2年間をホテル関連と英語の勉強をするために専門学校(ホテル科)に入学することにしたのです。
専門学校では、ホスピタリティを学ぶだけでは成り立ちません。まず、ホテル全体を理解するところから始まり、サービスの基礎知識の取得に力点を置いて学び、そこから実技、経営、など多岐に渡り学んでいきます。その中にはチーム力やコミュニケーション力も含まれます。
なかなか大変ではありましたが、なんとか無事に卒業し、日系ホテルのゲストサービス(ベルマン)としてキャリアをスタートさせました。その後、外資系ホテルでフロントなど宿泊部門を中心に経験を積み、現在は日系ホテルの人事として、総務?採用?研修を担当しています。
合同説明会の様子
ネガティブなイメージを超える、新たな可能性に視点を移して
ホテル業界は、時々、『ブラック』『激務』といったネガティブなイメージを持たれることがあります。確かに、フロントやレストランなどの、いわゆる『現場』で働くスタッフは、常にお客様への気配りが求められますが、働き方としては立ちっぱなし(常に動き回る)のシフト制で、部署によっては夜勤もあるため、生活はかなり不規則になります。だからこそ、体調管理と時間管理能力が非常に重要になってくるのです。
一方で、大変なことばかりではなく、嬉しいことや楽しいこともたくさんあります。まず、語学力を生かすことができます。ホテルには多くの外国人客が訪れます。私は英語だけでなく、韓国語で対応する機会も多くありました。チェックアウト時に、「韓国語が通じるスタッフがいて本当に安心しました。とても嬉しかったです。」というメッセージをいただいたこともありました。大学で学んだことが仕事に役立ち、誰かの役に立っていることを実感できるのは本当に幸せです。
また、外国人のゲストと話すのは緊張すると言う同僚もいましたが、私は在学時に留学生や外国人の先生方との交流時間も多かったことから、全く緊張しませんでした。そういう意味では、KUISでの学び方はとても理に適っているといえます。高校生までは内向的な性格でしたが、大学に入ってからは、コミュニケーション能力もかなり向上したと思いますから、その点でも大学には感謝しています。
コミュニケーション力とチームワークが生み出すホスピタリティ
私は、この『コミュニケーション能力』こそ、ホテル業界で働く上で一番重要なことであると思っています。エピソードを一つご紹介します。
私がゲストサービス部門で働いていた頃、お客様からワイングラスを追加で持ってきてほしいという依頼がありました。通常は、ワイングラスのお届けはルームサービスの担当でしたが、その時間帯はルームサービスが一番忙しいことを知っていました。それで、私が代わりに対応しようと動き出しました。
しかし、たまたまその時だけ、ワイングラスの在庫がありませんでした。お客様を待たせてはいけないのに???と困っていると、オペレーターの先輩スタッフから「どうしたの?」と声をかけられました。事情を説明すると、「バーから借りればいいんじゃないかな?」とアドバイスが。「その手があったか!」と、すぐにバーへ交渉に向かいました。
バーのスタッフに部屋番号を伝え、引継ぎもお願いしました。結果的に、お客様を待たせることなくグラスを届けることができたのです。
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文章で書くとそつなく進んでいるように感じる方も多いかもしれませんが、ホテルでは複数の部署が連携して仕事をしていますので、スムーズに進めること自体が意外と大変なことも実はあるのです。
また、お客様に快適な時間を過ごしてもらうために、スタッフ間の円滑なコミュニケーションが欠かせません。特に意識しているのは、挨拶です。日頃から部署や立場に関係なく、すれ違う人には必ず挨拶をしていました。
たとえ相手の名前がわからなくても、顔を覚えてもらえれば、困ったときに助けてもらえることも多いからです。そして、助けてもらったら感謝の気持ちを忘れないこともポイントです。
ご利用いただいたお客様に対する感謝だけではなく、一緒に働くスタッフにも感謝の意を表すことが重要です。これは当たり前のことのように感じるかもしれませんが、案外できない人も多いものです。残念ながら私自身も気持ちに余裕が持てないほど忙しい時には、この気持ちを忘れてしまうことがあります。それでもひと段落した後、しっかりと感謝の気持ちを伝えるように意識しています。
些細なミスがお客様の旅を壊してしまうことに
ホテルで働いていると、他のスタッフや部署のミスが原因で、自分がお叱りを受けたり、代わりに謝罪したりしなければならないことがよくあります。また、些細な引継ぎミスが大きな苦情に繋がることもあります。こうした経験はよくあることで、ホテル業界が『ブラックな業界』と呼ばれる理由の一つかもしれません。
しかし、ホテル業界では人々の温かさや優しさを感じる機会が多くあります。何よりも、自分が必要とされていると感じられる素晴らしい業界だと思います。これまでに苦労もありましたが、1つのチームとしてお互いをフォローしながら動くことで、宿泊されるお客様へ最高のサービスを提供することが可能になりますし、また、そういった一つ一つの瞬間を重ねていくことで、自身の成長も感じられる良い経験蓄積と新たな学びに繋がってくるからです。
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新皇冠体育に感謝!
大学を卒業して10年ほどが経ちましたが、今でもたくさんの友人と連絡を取り合ったり、一緒に遊んだり、飲みに行ったりしています。本当に大げさではなく、これからもずっと彼らと付き合い続けるだろうと思います。
大学で過ごした4年間は、今までで一番楽しくて最高の時間でした。この素晴らしいつながりをくれた新皇冠体育には本当に感謝していますし、この大学を選んで良かったと心から思っています。仲間やご家族との旅に欠かせない宿泊施設ですが、みなさまには快適に過ごしていただこうと日々奮闘しています。それぞれの空間で素晴らしい旅をぜひご堪能ください。
2014年卒業
外国語学部アジア言語学科韓国語専攻
清水 要太