新皇冠体育同窓会

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「ありがとう」の一言が仕事のモチベーション

みなさんこんにちは。2013年国際言語文化学科タイ語専攻卒業の小川愛美です。在学中はタイ語だけでなく、日本語教員養成課程を履修したり、学生ボランティア団体の幕チャリに力を入れていました。KUISでの4年間は貴重な経験の連続。一生の友達も手に入れることができました。

卒業後は一般企業に就職したものの、2016年から新皇冠体育を運営する学校法人佐野学園の理事長秘書として勤務しています。今回は秘書の仕事ややりがいを新皇冠体育の会長と理事長とのエピソードにも触れながらお話しします。

秘書って何するの?

「秘書って何するの?」これが友人に必ず聞かれる質問です。

答えは、「必要なことは何でもする」です。皆さんがよくドラマでみるような秘書は、スケジュールの調整や来客の応対、役員のアテンドなどを含め、キラキラしたように描かれているかもしれませんが、実際は地味で細かい仕事が大半を占めています。慶弔対応をはじめ、経費精算、文書?礼状作成や原稿チェックの他、役員のご家族との連絡や健康管理も大事な仕事の1つです。一般的に雑務と言われるようなこともたくさんありますが、理事長が経営に集中できるように幅広くサポートすることが自分の仕事だと思っています。

ゼロスタートの秘書業務

秘書経験もなく入職し、前任の方との引継ぎ期間が短かったことや、単純に同じ仕事をしている人がいなかったので、最初の1年は苦労の連続でした。職業柄、他の方に共有できない情報も多く、何事も手探り状態です。また、お客様はお役職を持つ方が多く、失礼があってはいけませんので、毎日緊張とプレッシャーで疲れ果て、家に帰ると寝るだけの日々が続いていました。

毎日必死で業務を覚えると共に、自分に足りないものを補いたいという焦りと、不安なまま仕事をする状態から解放されたいという思いが募り、教えてくれる人がいないなら、自分で学ぶしかないと思い、秘書業務に関する勉強をはじめました。

タイプの違う二人のトップ

入職当時は佐野隆治会長と元泰理事長のお二人の秘書をしていました。お二人は、性格も、トップとしてのお仕事のタイプも全く違います。

まず、会長は絵にかいたようなカリスマ経営者。約3年お仕事をさせていただきましたが、ご自身の強い意志とお考えで判断をされる方でした。学生が楽しく充実した学生生活を送れる裏側には、学園に対する熱い想い、学生第一という揺るぎない経営方針とリーダーシップがあるということを知りました。体調を崩され入院中でも神田外語の経営に対する情熱は全く衰えることはありませんでした。

一方、理事長は協力型のリーダーです。性格は温和で、周囲とのバランスを意識される方です。物事を決める際も、周りの意見を聞いた上で判断されます。目まぐるしく世間が動く中、自分の経験や価値観だけを判断材料にせず、案件ごとに適任と思われる方、専門的知識のある方の意見を取り入れながら物事を進める姿勢は、今の時代に合った経営スタイルではないかと思います。何より、理事長のお人柄が周りの人を、協力したいと思わせているようにも感じています。

サポートの仕方は全く違いますが、自分のボスに合ったサポートを探しながら、仕事をするのが難しくもあり、工夫次第でいくらでも良くできる楽しい仕事だと思っています。

秘書のありかたを教えてくれた会長

会長は仕事に関して、一切妥協しない、自分にも他人にも厳しい方でした。経営者は有事に限らず、スピード感を問われることが多々あります。そのスピードを秘書が止めてはいけません。会長から頼まれたことが最優先。かつ柔軟性が求められます。おかげで順序をつけて仕事をする訓練ができたと思っています。

「大切なお客様を雑に扱うな!」

秘書になって間もない時のことでした。面談を終えたお客様がお帰りの際、エレベーターまでお見送りせずに受付で済ませてしまったことがありました。それを見た会長にお叱りを受けたことがあります。どうしてかわかりますか?そうです。会長の大切なお客様に失礼をしてしまったからです。

手が離せないなら仕方がないということではなく、当たり前のことながら、お客様もお忙しい時間の合間で来訪いただいているのですから、優先度が違うのです。その日は会長の顔に泥を塗ってしまったと深く反省するとともに、あまりのショックで家に帰って大泣きしてしまったほどです。そして、秘書として働いている限り、お客様から残念に思われるような行為は決してしてはいけないのだと肝に命じました。

このこともあって、誰からみても恥ずかしくないようなビジネスマナーやおもてなしの知識を身に付けなければと改めて決意した瞬間でした。

やりがいは一言「ありがとう」をいただくこと

仕事のやりがいは何ですか、と質問されたら、答えは迷わず、「ありがとう」、「助かったよ」と言ってもらえること。シンプルですが、この言葉をいっていただけるだけで、この仕事をしていてよかったなぁと思えるんです。秘書は仕事柄、プロジェクトなどを持つということもなく、達成感や評価も得られにくい職種かもしれません。でもこの小さな「ありがとう」の積み重ねが、仕事に対する自信とモチベーションにつながっています。

そのために、常に気を付けていることは、その人が何を求めているのかを素早く察して、フォローすること。考え事をしたいような雰囲気の時はアポイントの組み方を変えたりしますが、ここにはコミュニケーションが大切になってきます。

例えばですが、ご家族と過ごす時間やイベント関連は私も意識するようにしています。時として、プライベートがうまくいかない時、多少仕事にも健康にも影響が出ることは誰にでもあるとは思いますが、心の余裕につながることは、結果的に仕事にも影響すると思っているので、お忙しい中でも、ご家族との時間が取れるようにコミュニケーションを取りながらサポートにつなげています。

??素敵な大人

秘書になって思うことは、「素敵な大人」に出会える機会が多いことです。仕事柄、アポイント調整や来客などで、毎日たくさんの方とのやり取りをしますが、特に経営者のお客様や関係業務に係る方は、エネルギーに溢れ、人を魅了するような方が多いと感じます。

グループ内の方々だけではなく、外部の役員の方であったり、同業の秘書の方だったりと様々ですが、皆さんに共通しているところは、忙しさを見せず、他人を気遣う余裕があること。人と丁寧に接すること。これはどんなに役職の高い方でも同じです。素敵だと思う方は、謙虚で丁寧。独特のやわらかい雰囲気を持っています。

私には目標とする方がいます。物事を冷静に判断でき、間違っているときにはきちんと指導してくれる。また、仕事だけでなく、価値観、ファッションセンス、プライベートの過ごし方、自分をコントロールできていて心から素敵だと思える女性です。この先も私の人生に影響を与え続けてくださるに違いありません。

今の私には、まだ余裕はなく、毎日楽しみながら走り続けている感覚です。大変だけど大変に見せないところに大人の美学のようなものを感じます。素敵だと思える方に一人でも多く出会い、20年後には自身も素敵な大人になりたいと思っています。

おわりに

最後に、私が仕事を始めてから一番印象に残っている言葉を紹介します。

「秘書ができれば、どこでもやっていける」

これは会長にいただいたお言葉です。

全ての仕事に共通して大切なことは、人間関係。コミュニケーション。気配り。秘書ができれば、たいていの仕事はやっていけると言われました。先を読んで行動し、お客様に失礼のない応対ができ、上司や職場の人にも気配りができれば、どこでもやっていけるということです。

佐野学園に入職し、経営者二人の秘書をしたこと、教職員の皆さんと一緒に仕事をすることで、自分が学んだKUISは、たくさんの人たちの熱い思いで運営されているのだということに気づきました。私にとって、KUISでの4年間は本当に楽しく、いい思い出しかありません。今、自分がKUISを運営する仕事に携わっていることを誇りに思います。

今回の執筆を通じて、自分の仕事に対する思いや価値観をあたらめて確認することができました。それと共にいかに人や環境に恵まれて来たのかということも感じました。これからも初心を忘れず、向上心と情熱を持って仕事をしていこうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。秘書のお仕事をされている方は多くないかもしれませんが、なにか一つでも参考になることがあればうれしいです。

 

2013年
国際言語文化学科タイ語専攻卒業
小川 愛美