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「表現」と「コミュニケーション」を本質的に考えてみる

葉山、湘南という場所

10年以上前に、神奈川にある葉山という海辺の町に引っ越してきました。引っ越した当初は1LDKの小さなアパートに妻と2人暮らし。近くの本屋さんで湘南スタイルを読むと、同じ湘南エリアで暮らし、働く人々のキラキラした写真がたくさん出てくる。

みんな素敵な暮らしをしてるなー。
当時20代の僕にとって、この湘南エリアには刺激的な「面白い大人たち」がたくさんいました。

毎年、夏になると海の家で犬の写真展を開催している近所の写真家。

地域のお神輿に誘ってくれる横須賀米軍基地の消防士。

会社を早期退職し、自宅の一室で古着屋を営みながら、サーフィン三昧の生活を楽しむ自由人。

みんなに共通するのはTシャツ短パンにビーサン、そして自然と共に過ごす豊かな暮らし。僕はそんな大人に憧れ、いつか彼らのように暮らしたい!と思い、7年後、葉山の里山に小さな家を建てました。憧れていた雑誌、湘南スタイルに自分の家が掲載され、たくさんの友達にも遊びに来てもらって、広い庭でBBQをしたり、海の家に遊びに行ったり。

もしかすると、今どこかで名も知らぬ若者が、当時の僕のようにこのエリアの暮らしに憧れているかもしれない。僕の家が載ってる雑誌を読んでいるかもしれない。海辺のどこかで、お祭りで、出会うかもしれない。そう考えると、僕も少しずつでも、誰かにとっての「面白い大人」になれているのかもな。

表現するという事

僕が大好きなお店、葉山にあるサンシャインプラスクラウドと鎌倉のヴィヴモンディモンシュという空間。過去のインタビューや記事をあさっていると、共通の人物が浮かび上がってくる。

美術作家の故?永井 宏さん。

僕の家の近く、一色「かやの木テラス」。90年代の初め頃に永井さんはギャラリーをオープンした。みんなが永井さんを慕って集まり、その一人がサンシャインプラスクラウドの高須勇人さんであり、ヴィヴモンディモンシュの堀内隆志さんだった。

「誰にでも表現はできる、ぼくたちの暮らしそのものがひとつの表現になる」

永井さんの言葉の一つです。普段の暮らしの中で「表現」するなんて考えてもいなかった。表現するのに高い知識や技術も要らない。好きなことをありのままに表現すればいいのだと。

自分にできる表現ってなんだろう?

僕は今、好きな音楽とサッカーの事を語るPodcastを配信しています。別に僕はプロのラジオDJでもないし、話の内容だって素人丸出し、ただ好きな事を好きなように話す。聴いてもらう事より、自分が楽しく話す事を優先する。聴いてる方は楽しく聴いているのかはわからない。けど、話している自分はとても楽しい。好きなことだから。

きっとこれも一つの表現なんだろうな。

コミュニケーションってなんだろう?

僕の今の仕事は単純に言うと「コミュニケーション」。あまりに切り口が広すぎる。

まちづくり、地域活性、コミュニティ???そんなキーワードが僕の仕事の分野なのですが、分野に限らず全ての人間の営みに必要な要素がコミュニケーション。

コミュニケーションってなんだろう?

ある人がこんな事を言っていました。「人の多様性を認める事は、様々な人種の事ではなく、1人の人間の中の多様な人格を認める事だ。」なるほど、これはすごい気付きだなと。

人間関係でうまくいかない事はありませんか?僕の言う事をあの人は分かってくれない。あの人は良い人、嫌な人。人は自分の主観で人を肯定したり、否定します。例えば会社の嫌な上司。でもその上司は、社長にとって会社をマネージしてくれる有能な部下であり、家に帰ると良き父親であるかもしれない。

そこまで考えてみると、少なくともむやみに人を否定するもんじゃないなと初めて感じられる。そんな視点で見てみると、嫌な上司に対しても少しだけ優しい気持ちになれる。

これも大切なコミュニケーションの一つなんだろうと思うのです。

 

<参考>
?SUNSHINE+CLOUD  https://sunshine-cloud.com/
?ヴィヴモンディモンシュ http://dimanche.shop-pro.jp/

2004年
英米語学科卒業
渡部 辰徳