新皇冠体育 客員教授?田瀬先生による講演会が実施されました。
田瀬先生は外務省、国連日本政府代表部一等書記官等を歴任し、現在は「SDGパートナーズ」「SDGインパクツ」というSDGsを土台としたビジネスモデルの導入を行う会社の代表をされている方で、新皇冠体育の客員教授でもあります。
田瀬先生ご自身がどのように学び、人生を切り開き、現在のキャリアを築き上げたのか、今、世界中の人々が多くの関心を寄せているSDGsの基本的な考え方や国際貢献への取り組みなどについてお話しいただきました。
講演会の前半では、これまで国連で働かれていた時に経験された業務についてお話しいただきました。
コロンビアでの人道支援では、武装勢力に囲まれて政府の統治が全く行き届いていない地域で、子供たちが児童兵にさせられたり、誘拐に合わずに、その土地でいかに生きていくかというお手伝いをされていました。コロンビアに限らず南米やアフリカ諸国では、このような問題が多く起きており支援の手を差し伸べることが重要です。
レバノンでの活動の時は、クラスター爆弾※の爆破処理をされています。
他国からの空爆後、不発弾が多く残り、その結果農地だったところが地雷原になってしまいます。
その地雷を除去するため、地元の農家の方に地雷除去の仕方をトレーニングし、一緒に爆破処理をして、田畑を復活させる農業支援をされていました。
※コンテナー(入れ物)に数十個から数百個の子爆弾が入った爆弾のこと。
カンボジアでは、首都プノンペンの近くのスラムに暮らす人たちの支援を行っていました。
スラムのすぐ近くには巨大なゴミ捨て場があり、そこで暮らす子供たちは、集まってくるごみを分別して売るか、分別して食べるという生活をしています。
そんな子供たちにNGOの方と一緒に、読み書きや計算など教育の機会を提供してきました。
このように多くの経験をしてこられた田瀬先生。
学生たちが分かりやすいよう日常生活の出来事に置き換えて、同じ目線に立ってお話していただいたこともあり、学生たちは感銘を受け、真剣なまなざしで聞き入っていました。
ここ数年、よく見聞きするようになったSDGs。名前や略称は知っているけれど、内容は深く知らないという方もいるのではないでしょうか。
そもそもSDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた国際目標です。17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
17の開発目標ばかりに目が行きがちですが、この文書には前文や宣言があり全体として人類の大きな目標を語っており、それぞれにストーリーがあります。その全体像を4つの哲学と一緒に分かりやすく説明いただきました。
誰一人取り残さない
(leave no one behind)
世界中で暮らしている人や社会の格差を無くす。また、すべての人が社会に参画できる世界にするという強い思いが込められています。これはSDGsを支える哲学の一つであり、誓いです。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
一層大きな自由
(in larger freedom)
「自由」は第二次大戦後の国際社会と国連システムを根底から支えてきた概念です。
「誰一人取り残さない」と同様にSDGsを根底から支えている哲学です。
in larger freedom = できることが多くなる = 自分らしい
一層大きな自由 ? ? 多くの選択肢から人生を選ぶ 人生を生きる
SDGsを理解するうえで、重要なキーワードになります。
よく生きる
(well-being)
宣言文の中で、どんな社会にしたいのかという段落があります。
「身体的、精神的、社会的によく生きられる世界である。」
このことをWHO憲章では健康と定義しています。ただ単に病気にならず過ごすのではなく、心も身体も他の人との関係も満たされていることを指します。
一人ひとりが「よく生きている」と思えるかどうかで、私たちの未来を変えていきます。
環境と気候変動
今の私たちの世代と後にくる数多の世代のニーズを全部満たさなければいけないこと。現代で独り占めせず、自然環境を保全し、世代を超えてこれを引き継いでいく、守っていく必要があります。
これらのほかにも色々な言葉がありますが、SDGsが目指す世界像は、「世代を超えて、すべての人が、自分らしく、よく生きられる」こと。
田瀬先生はこのようにおっしゃいました。
「どういう世界を目指しているのか。その目指している世界に共感できるのか、できないのか。共感できるならば自分には何ができるのだろう。自分自身に何ができるのかを考え、今何をすべきかということを導き出すことが最も重要な考え方ではないでしょうか。」
私たちの認識の中では、17の目標を数値目標だけしか見ていなかったかもしれません。
今後、SDGsに取り組んでいく中で、今回の講演は行動を起こすきっかけやヒントになりました。
将来、国際機関で働きたい学生、ボランティアで国際貢献がしたい学生、大学で国際関係やSDGsについて学びたい学生など、就職?大学編入?留学、いずれの進路を目指す学生にとって非常に有意義な講演会になったのではないでしょうか。
お忙しい中、講演していただきました田瀬先生、本当にありがとうございました