新皇冠体育

图片

マーケティング最前線!

マーケティング最前線!

ドジャース 高EQデーブ?ロバーツ監督 ?MLBワールドシリーズの決定的瞬間!

2025.02.24

2024年米国MLB(大リーグ)ワールドシリーズで、LA*ドジャース(Dodgers)が4勝1敗でNYヤンキース(Yankees)に勝利し、4年ぶり8回目のワールドシリーズを制覇。ドジャースの主力、ムーキー?ベッツ選手のYouTubeトーク番組で、デーブ?ロバーツ監督が第5戦8回裏を「決定的な瞬間」として振り返っています。その時の状況やロバーツ監督の判断を整理し、チームマネジメント/リーダーシップ論的な視点から、(マーケティングに限らず)組織を率いるマネージャー/リーダー全般に有効な教訓を導き出します。

*ロサンゼルスの火災で被害を受けられた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。皆さまが一日も早く平穏な日々を取り戻されることをお祈りしております。

ジャッジ選手、チザム選手のホームランで5点差のピンチ

2025年10月30日、米国MLB(大リーグ)のワールドシリーズ、第5戦(ヤンキースタジアム)が行われ、大谷翔平選手と山本由伸投手が所属するLA*ドジャースがNYヤンキースに7対6で勝ちました。ドジャースは通算成績を4勝1敗として、4年ぶり8回目のワールドシリーズを制覇。

ドジャースの3勝1敗で迎えたワールドシリーズの第5戦(30日)は、ヤンキースの本拠地ニューヨークで行われました。

ドジャースは初回、ヤンキースのアーロン?ジャッジ外野手、ジャズ?チザムJr.内野手のホームランでいきなり3点を失います。さらに2回、3回も得点を許し、「5-0」、その差を5点に広げられました。

ベッツ選手、フリーマン選手、ヘルナンデス選手の活躍で「5-5」の同点に追いつく!

5回、ドジャース打線がついに反撃。相手のミスも重なって2死満塁。ムーキー?ベッツ内野手、フレディ?フリーマン内野手、テオスカー?ヘルナンデス外野手の3連続適時打で一挙5得点。試合を「5-5」の振り出しに戻しました。

6回に勝ち越しを許したドジャースでしたが、8回表に無死満塁の好機から9番ギャビン?ラックス選手、2番ベッツ選手がともに犠飛を打ち上げ、「6-7」と再びリードを奪いました。

8回裏、トレイネン投手が「一死一、二塁」のピンチ!

8回裏、ドジャースの7番手のリリーバー(救援投手)、ブレイク?トレイネン投手が登板。そして、ヤンキースは一死からジャッジ選手が二塁打、チザム選手の四球で一死一、二塁。トレイネン投手の投球数は37球。デーブ?ロバーツ監督はマウンドに向かいました。

長打が出ればまた逆転される。ロバーツ監督はこのピンチをそのままトレイネン投手に託しました。トレイネン投手は、スタントン選手をフライに打ち取り、アンソニー?リゾ選手を空振り三振に仕留め3アウト。

ワールドシリーズ 第5戦 ハイライト (By Los Angeles Dodgers)

13分16秒からのシーンに注目!

1点差で迎えた最終回のドジャースの守り。第3戦に先発したウォーカー?ビューラー投手が、6年ぶりのリリーフ投手としてマウンドへ向かいます。慣れないリリーフ登板ながらヤンキース打線を無失点に抑え、対戦成績4勝1敗でワールドシリーズチャンピオンを決めました。

デーブ?ロバーツ監督は、MLB史上初のアジア系監督

ここで基本的な前提として、デーブ?ロバーツ(Dave Roberts)監督のプロフィールを確認しておきましょう。1972年5月31日沖縄県那覇市生まれ。日/アフリカ系アメリカ人のMLB監督であり、元プロ野球選手(外野手)。名門UCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)を卒業し、同校で大学野球をプレー。ロバーツ氏は、MLB史上初のアジア系監督であり、ワールドシリーズ優勝を果たした2人目のアフリカ系アメリカ人監督。

2016年にロサンゼルス?ドジャースの監督に就任して以来、4度のナショナルリーグ優勝(2017年、2018年、2020年、2024年)と2度のワールドシリーズ制覇(2020年、2024年)に導きました。戦略的なリーダーシップと粘り強さで知られ、最優秀監督賞を複数回受賞し、球団記録を打ち立てています。現役選手時代には、2004年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)での伝説的な盗塁により、ボストン?レッドソックスの86年ぶりのワールドシリーズ優勝に大きく貢献しました。

第5戦8回裏が「決定的な瞬間」だった!

デーブ?ロバーツ監督は、2024年のワールドシリーズの第5戦8回裏(守備)がドジャース優勝への「決定的な瞬間」だと振り返っています。ロバーツ監督が、なぜブレイク?トレイネン投手を交代させなかったのか、その理由を、ムーキー?ベッツ選手とのYouTube番組で明かしています(「On Base With Mookie Betts」)。いくつかの重要なポイントを紹介しましょう。

(1) 緊迫した瞬間をスローダウンさせる

8回裏、一死一、二塁。ロバーツ監督は、緊迫したイニングでマウンド上のトレイネン投手にどのように声をかけたかを説明しています。

「正直言って、大したことはしていない。彼に一息ついてもらい、私が彼のそばにいることを伝えたかった。皆が知っているとおり、私の方針として選手とつながりを持ちたいと思っているので、マウンドに行って両手を彼の胸に置き、彼の目を見て『まだ力が残ってるか?』(You got any more in there?)と確認した」

「You got any more in there?」。これはカジュアルな英語表現で、「もう少しやれるか?」という意味を持っています。相手の体力や気持ちの余力を確認するニュアンスがあり、特にスポーツやプレッシャーのかかる場面でよく使われます。ロバート監督は「まだいけるか?」「この重要な場面で君に任せていいか?」とトレイネン投手を信頼しつつ問いかけています。単に体力や技術だけでなく、その状況で戦い続ける精神力も確認しているニュアンスが含まれています。

トレイネン投手の返答は即座で断固としたものでした。「(次打者)スタントン選手と勝負したい!」。

数年前だったらトレイネン投手を交代させていた

(2) チームを信頼する

ロバーツ監督は、数年前だったら、トレイネン投手を交代させていたかもしれないと認めています。「数年前なら、間違いなく交代させただろう。でも今回はブレイク(トレイネン)を信頼した。常に分析が重要なのではなく、常識が重要なのでもない。そしてあの瞬間、ブレイクがマウンドにいるかいないかで、生きるか死ぬかが決まると感じた」。

しかし、ロバーツ監督は自分の直感を信じながらも、トレイネン投手の様子/態度に目を光らせていました。「彼にはもう1打席だと言った。スタントンを打ち取ったのち、もし彼が私に視線を送ってきたら、つまり私の方をちらっと見たら、彼を交代させる準備はできていた。でも、彼は私を見ることはなかった。彼はそのままマウンドを支配し、私はベンチの最上段でブレイク(トレイネン)の反応を見ていた」。

チームリーダーのフリーマン選手からのシグナル

(3) 一塁手フレディ?フリーマン選手からの非言語的シグナル

トレイネン投手の続投の決断では、チームリーダーも一役買いました。トレイネン投手が2アウトをとったあと、一塁を守っていたフレディ?フリーマン選手が、ロバーツ監督にさりげなく非言語的なサインを送り、トレイネン投手への信頼を示しました。「フレディはグローブを少し動かして(次の打者も)『彼に任せよう』と言っているようだった。その小さなジェスチャーはとても意味があった。ブレイク(トレイネン)を信頼する安心感を与えてくれた」とロバーツ監督は述べています。

ロバーツ監督の信頼は報われました。トレイネン投手は後続打者を打ち取り、ドジャースは1点のリードを守りました。ロバーツ監督は次のようにこの瞬間を振り返っています。「完璧な采配をしたわけではない。ブレイクのような経験豊富で信頼を勝ち得た選手を信じるだけだった。私たちは彼とともに勝つか負けるかを決めようとしていた。」

(4) ウォーカー?ビューラー投手の投入は計算されたリスク

最終回、第3戦に先発したウォーカー?ビューラー投手を中1日で投入したことについて聞かれたロバーツ監督は、計算されたリスクであったことを認めました。「1点リードの場面でウォーカーを投入したことは、自分でも納得のいく決断だった。彼は投げたがっていたし、プレッシャーにも耐えられると思っていた。たとえ第7戦にもつれ込む可能性があったとしても、彼の投入はシリーズを終わらせる最善の策だった」。こうして、ビューラー投手は、ロバーツ監督やチーム、ファンの期待に応え、最終回を無失点に抑え、ドジャースを栄えある優勝に導いたのです。

状況に応じたリーダーシップ

では、8回裏のロバーツ監督の決断を、マネジメント理論/リーダーシップ理論の視点で、分解し教訓を導き出してみましょう。

(1) 状況に応じたリーダーシップ(Situational Leadership)

ロバーツ監督は、その時の試合の状況や関係する選手(トレイネン投手)に応じてアプローチを調整しました。過去のパターンや伝統的な野球戦略に固執するのではなく、その時々の状況を見極め、自分のリーダーシップのスタイルを適応させたのです。

ロバーツ監督は、リーダーとして、チームの準備態勢と自信を見極め、最善の行動を決定したのです。一般組織のリーダーへの教訓は、チームメンバーの経験や状況の緊急性に応じて、リーダーとしての関与の度合いと、部下(スタッフ)への権限委譲のバランスをとることが求められます。

感情的知性(EQ: Emotional Intelligence)

(2) 感情的知性(EQ or EI: Emotional Intelligence)

ロバーツ監督は、トレイネン投手がプレッシャーにさらされていることを認識し、批判ではなく安心感を与えることで、卓越した「感情的知性」、すなわちEQ(or EI: Emotional Intelligence)を示したといえます。身体的につながり(トレイネン投手の胸に手を置く)、アイコンタクトを保つことで、危機的状況において、彼はトレイネン投手との信頼を築き、自信を伝えたのでした。

一般に、認知力を測定する指標として「IQ」(知能指数)が知られています。論理的思考、推論、問題解決、分析力などを測る指標です。それに対して、「EQ」(感情的知能)とは、「感情を理解し、管理し、影響を与える能力(自分自身と他者の両方)を測る指標」です。EQには、共感力、自己認識、人間関係のコミュニケーション、感情のコントロールなどのスキルが含まれます。 

EQが優れたリーダーシップの特徴として、(1)強い人間関係の構築、(2)効果的なコミュニケーション、(3) 困難への適応力、(4)チームの能力を引き出す、(5)紛争解決力、(6)協力(コラボレーション)とイノベーション/創造性の促進があげられます。

高いEQを持つリーダーは、緊張をほぐし、自信を与え、協力的な環境を作ることができます。共感と明確なコミュニケーションは、緊張が高まる場面で士気とパフォーマンスを高めることができます。一般的なリーダーへの教訓は、積極的な「傾聴」を実践し、建設的なフィードバックを提供し、チームメンバーと個人的につながることで、支援と信頼の組織文化を育むことができる、ということです。

リスク管理、リスクテイク、権限委譲

(3) リスク管理とリスクテイク

ロバーツ監督は、第5戦8回裏、トレイネン投手をマウンドに残し、9回裏はビューラー投手を投入するという大胆な決断を下しました。彼は、第5戦を負けて第6戦に進むリスクを慎重に検討するなかで、最終的には安全で型にはまった思考よりも、自分の直感と選手の能力を優先させたのです。リーダーへの一般的な教訓は、「優れたリーダーは、チームの能力を信じて計算されたリスクを受け入れる。リスクマネジメントとは、リスクを避けることではなく、可能な限り最善の結果を追求しながら、潜在的なマイナス面を理解し、同時にリスクをとることにある」ということです。

(4) 信頼と権限委譲

ロバーツ監督は、トレイネン投手の判断力と能力/経験を信頼することで、トレイネン投手がその場の支配権/決定権を持つように仕向けました。ロバーツ監督は、絶対に必要なとき以外は部下やスタッフの判断/行動に介入しないことを示すことで、トレイネン投手やチームに対する信頼を示したのでした。リーダーへの教訓は、「チームメンバーを信頼し、権限を与えることは、組織内に、説明責任、自信、積極的関与、エンパワーメント(自信付与/能力開花)を育み、結果として、パフォーマンスの向上につながる」ということです。

自信と明晰さをもってチームを導く!

(5) コラボレーション(強力)と意見を求めること

フレディ?フリーマン選手からのシグナル(合図)が、トレイネン投手の続投に対するロバーツ監督の決断に重要な役割を果たしました。他者からの意見に注意を払うことで、ロバーツ監督はチームメンバーや部下からの協力に対する「オープンさ」を示したのです。一般的リーダーへの教訓としては、「信頼できる部下、同僚からの協力や意見は、決断を強化する。チームのシグナルや洞察を受け入れるリーダーは、よりバランスの取れた、情報に基づいた選択ができる」ということです。

(6) 自信と明晰さをもってチームを導く

ロバーツ監督は、不確実な状況でも自分の決断に自信を持ち続けました。彼は自分の直感と選手を信頼し、それがチームに安定感を与えたのです。リーダーの自信はチーム全体の調子を整える効果があります。たとえリスクが伴う場合でも、明確で自信に満ちた決断はチームを安心させ、集中力を維持するのに役立ちます。それが、リーダーへの一般的な教訓です。

2025年3月18-19日、ロサンゼルス?ドジャース(LAD)とシカゴ?カブス(CHC)のMLB

開幕戦が東京ドームで開催されます。東京でいったいどんなドラマが生まれるのか。日本、米国、世界のMLBファンの期待が高まっています。

神田外語キャリアカレッジ > ブログ > マーケティング最前線! > ドジャース 高EQデーブ?ロバーツ監督 ?MLBワールドシリーズの決定的瞬間!
KGCCのプログラム新皇冠体育