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ディズニー/マーベル史上最も破天荒なヒーローと危険な爪野郎の最強タッグ映画「デッドプール&ウルヴァリン」R指定興収歴代最高!

2024.08.26

2024年夏、最も期待された、ディズニー?マーベル映画『デッドプール&ウルヴァリン』公開。作品の内容、マーベル?スタジオの歴史、MCU(マーベル?シネマティック?ユニバース)の革新性、デッドプールの破天荒な広告手法を簡単に紹介します。

2024年の超期待作?ディズニー/マーベル映画『デッドプール&ウルヴァリン』

破天荒なヒーロー「デッドプール」(Deadpool)と、危険な爪野郎「ウルヴァリン」(Wolverine)。映画史上最も物騒なヒーローコンビの活躍を描く、過激で笑えるアクション?エンターテイメント超大作、ディズニー/マーベル映画『デッドプール&ウルヴァリン』が公開されました(2024年7月26日日米同時公開)。

2024年2月に初公開された「予告映像」(Movie Trailer)が、24時間視聴回数3.65億回を突破(同年2月11日時点)し、ハリウッド映画史上「No.1」の記録を樹立。

映画公開前の2024年4月。全米有数のオンライン映画チケットサービス「ファンダンゴ」(Fandango、米国ロサンゼルス拠点)が、6,000人以上の映画ファンを対象にした世論調査でも、この『デッドプール&ウルヴァリン』が、2024年夏、最も期待される映画のトップに選ばれました。

本作『デッドプール&ウルヴァリン』(便宜的に「Deadpool 3」とも呼ばれる)は、前2作と同様、血まみれで暴力的な表現が含まれているため、「R指定」となっています。アメリカにおける「R指定」(restricted)とは、暴力、流血などを理由として、映画鑑賞にあたって「17歳未満は保護者の同伴が必要」という意味。

R指定の作品としては「史上最高のオープニング(初週)興収」300億円突破!

実際の興業収入(興収)は、「デッドプール&ウルヴァリン」の「公開初週」の米国内市場で2億ドル(約308億円)を突破し、R指定の作品としては「史上最高のオープニング」を記録。世界市場での興収も4.4億ドル(約680億円)を達成(データ:米国ニュースチャンネルCNN)。

2016年に公開された「デッドプール 1」の初週の興収は約1.3億ドルと、R指定作品としては当時の最高記録を樹立。続く18年公開の2作目は、米市場での初週の興収は1.25億ドルで、ランキングの2位。インフレを考慮しても、最新作『デッドプール&ウルヴァリン』(Deadpool 3)のオープニング(公開初週)は前2作を大きく上回るものとなりました。

さらに、全世界では、公開からわずか20日間で全世界の興行収入10億ドル(1,500)億円を超え、日本国内での観客動員数も100万人を突破!その怒涛の勢いはとどまることを知りません。

マーベル作品史上初の『R指定』の過激作

「デッドプール」の最初の2作(Deadpool 1 (2016) と Deadpool 2 (2018))は、映画スタジオ旧「20世紀フォックス」(現「20世紀スタジオ」)によって公開されいずれもR指定となりました。今作は、ディズニーが20世紀フォックス社を買収して以来初の『X-MEN』フランチャイズ作品であり、(後に説明する)MCU(Marvel Cinematic Universe: エム?シー?ユー)シリーズに統合されたものです。そして、MCU作品として、初の「R指定」作品となりました。ちなみに、映画業界で言及される「フランチャイズ」(franchise)とは「(映画やテレビなどの)シリーズ」に近い意味。

『デッドプール&ウルヴァリン』のストーリーは次のとおりです。「中年の危機を経験しながら仕事上の挫折に直面した『デッドプール』こと、ウェイド?ウィルソン(俳優:ライアン?レイノルズ)は、「デッドプール」という異色のヒーローから正式に引退し、中古車のセールスマンになることを決意する。しかし、彼の友人、家族、そして全世界が危機に瀕したとき、デッドプールは引退を撤回し、もう一度立ちあがろうと決意する。不本意だったが、デッドプールは警戒心の強い『ウルヴァリン』(俳優:ヒュー?ジャックマン)を採用し、自分たちの生存のためだけでなく、最終的には、世界の人々、そして彼らのレガシー(遺産)のために戦うのだ???」

「デッドプール&ウルヴァリン』予告編(R指定) (By ディズニー?スタジオ公式)

「二振り」の日本刀と二丁拳銃

動画配信「Disney+」などの情報にもとづき、デッドプールのプロフィールを確認しておきましょう。「デッドプール」(Deadpool)は、いわゆる「アメコミ」(アメリカン?コミックス)の「マーベル?コミックス」(漫画)に登場する人気キャラクター。その正体は人体実験で驚異的な治癒能力と不死の肉体を得たのと引き換えに、醜い身体に変えられてしまった元傭兵のウェイド?ウィルソン。このとき、デッドプールは、今回タッグを組むウルヴァリンの「ヒーリング?ファクター」(心身のどんな傷からも回復できる能力)を注入されます。ミュータント(突然変異体)?ヒーローチーム「X-MEN」(エックスメン)の準メンバー的存在。

自分のことを「俺ちゃん」と呼び、口が悪く、時に非常識な言動をしますが、基本的には正義の味方。自作の赤いコスチュームと、「二振り」(ふたふり、つまり2本)の日本刀と二丁拳銃を身にまとい、過激でド派手なバトルシーンを繰り広げる、「ぶっ飛んだ」ヒーローです。

「デッドプール」とは、「命を賭ける」『賭け』に由来

「デッドプール」という名前は、自分が人体実験を受けた収容所で行われていた、「命」

(Dead)を賭ける『賭け』(Pool)の名称に由来。

映画シリーズでは、デッドプール自身が、物語(ストーリー)に頻繁に割り込み「第4の壁」を破って観客に直接語りかけることで知られています。「第4の壁」(the forth wall)とは、スクリーンの中と映画を見ている観客を隔てる壁に見立てたもので、元々は演劇で舞台側(虚構)と客席側(現実)を隔てる壁という意味を持っています。

映画の中で、この「壁」を超えて、観客に話しかけてくるが「デッドプール」です。一般に、舞台上の背景が「第1の壁」、舞台の両脇が「第2の壁」「第3の壁」、舞台と観客の間(映画の場合、スクリーンとの間)が「第4の壁」と表現されます。

両手の甲に3本の鉤爪を持つウルヴァリン

一方の「ウルヴァリン」(Wolverine)は、突然変異を起こした人類「ミュータント」(突然変異体)の一人。悪の脅威から人類を守り、人類とミュータントの平和的共存を実現するために組織された、ミュータントヒーローチーム「X-MEN」(エックスメン)のメンバー。

ローガンという名前を持つウルヴァリンは、心身のどんな傷からも回復できる能力「ヒーリング?ファクター」をもっています。並外れた感覚を備え、両手の甲から3本ずつ鉤爪(かぎづめ)を伸ばして戦います。政府の研究機関「ウェポンX」によって合金アダマンチウムを骨格に注入されたことで身体は強化され、鉤爪でどんな物でも切り裂くことが可能。

一見すると粗暴で礼儀を知らないように見えますが、義侠心があり友人や親しい人間を大切にし、彼らと敵対する者には容赦のないヒーローです。アニメーションのウルヴァリンは黄色と青色を基調としたコスチュームが印象的で、バキバキに鍛え抜いた肉体で敵を撃退します。

MCU(マーベル?シネマティック?ユニバース)とは?

MCU(マーベル?シネマティック?ユニバース、Marvel Cinematic Universe)とは、「シェアード?ユニバース」(shared universe)または「シェアード?ワールド」(shared world)という概念。複数の映画が制作され、その作品は単独でも成立するが、プロジェクト全体のストーリー、キャラクター、または世界設定を共有しつつ発展させるという、一連の創作物からなる架空の世界のことです。

一説によると、マーベル(コミック)のキャラクターは80,000体存在するとされます。そのすべてのキャラクターが、「時空」を超えて、MCUで同時に活躍できる仕組みがまさにMCU(エムシーユー)なのです。なお、スーパーマンやバットマンなどを擁するマーベルのライバル、DC(Detective Comics: 探偵漫画)もDCユニバース(DCU: DC Universe、旧DCエクステンデッド?ユニバース)というシェアード?ユニバースを持っています。

財政難のマーベルが、主要キャラクターの映画化権を譲渡!

ここで、マーベルの人気キャラクター、スパイダーマン、ファンタスティック?フォー、X-MENの権利関係に焦点を当てながら、マーベルの経営の歴史を確認しておきましょう。

1939年、「マーベル?コミック」(当初名「タイムリー?コミックス」)が設立されます。1941年に「キャプテン?アメリカ」などの象徴的なキャラクターを発表。伝説的なクリエーター、スタン?リーとジャック?カービーの原作/作画の「ファンタスティック?フォー」を創刊し、マーベル時代の幕開けとなります。その後、スパイダーマン、X-MEN、ハルク、ソー、キャプテン?アメリカ、アイアンマン、アベンジャーズなどの主要キャラクターを生み出し、1960年代に「アメコミ」の大手コミック出版社に成長します。(前述のとおり)アメコミとは「アメリカン?コミック(ス)」(American comics)の略称で、日本において「アメリカの漫画作品」の総称として使われます。

1990年代にコミック(マンガ)市場の暴落と過剰生産により経営難に直面し、1997年に経営破綻し、「マーベル?エンターテインメント」として再稼働。1990年代に経営危機に直面した際に、資金繰りのために、主要人気キャラクターの映画化権を売却。「スパイダーマン」は「ソニー」(ピクチャーズ)に、「X-MEN」と「ファンタスティック?フォー」は「20世紀フォックス」に譲渡されました。「ファンタスティック?フォー」とは、宇宙の放射線を浴びて特殊能力を身につけた4人の人気スーパーヒーローのこと。

2009年、ウォルト?ディズニー?カンパニーがマーベル?エンターテインメントを買収し、マーベルはディズニーの傘下に入りました。

チーフプロデューサー、ケヴィン?ファイギ氏が「MCU」シリーズの司令塔

1993年、マーベル独自の映画を製作するために、マーベル?スタジオ(当初名はマーベル?エンターテインメント)が設立されました。2008年に『アイアンマン』でMCUを立ち上げ、シェアード?ユニバース?モデルとして、『アベンジャーズ』シリーズ(フェーズ[Phase]1から5)を展開し、米国映画業界に一種の革命を起こしました。

2007年にマーベル?スタジオの社長に就任したケヴィン?ファイギ(Kevin Feige)氏が、チーフプロデューサーとしてMCUの全作品に関わっています。「マーベル」オタクを自称するファイギ氏は、MCUのまさに司令塔です。『アベンジャーズ』シリーズの興業収入総額は324億ドル(4.9兆円)とされます。2015年に、マーベル?スタジオは、ウォルト?ディズニー?スタジオ直属部門となりました。

その後、2019年、ウォルト?ディズニー?カンパニーが「20世紀フォクス」(現「20世紀スタジオ」)を買収。その結果、『X-MEN』と『ファンタスティック?フォー』の権利が、ディズニー/マーベルの元に戻ってきました。これにより、デッドプールとウルヴァリンを、MCUの作品として正式に映画化することが可能となったのです。

MCUの革新性は?

前述したMCU(マーベル?シネマティック?ユニバース)の革新性のポイントを簡単にまとめておきましょう。

第1が「相互接続されたストーリー展開」(Interconnected Storytelling)です。MCUという同じ時空の世界の中で、クロスオーバー(Crossover)、つまり複数の独立したシリーズが一つのストーリーを共有し進行され、多面的かつ立体的なストーリーを展開することが可能となります。同時に、MCUによって、SF、ファンタジー、スパイ、スペースオペラ(宇宙を舞台にした騎士道的冒険物語)、強盗映画など、スーパーヒーローの枠組みの中で様々なジャンルを網羅できるため、飽きのこない多様な作品群を観客に提供できます。

第2が「フェーズ」(phase: 段階)です。MCUはフェーズ(現在は、フェーズ5)で構成されており、各フェーズはより大きな、統一されたストーリーによって展開され、この段階的なアプローチによって、ストーリーの継続性を維持しながら、ファンの期待感を高めることに成功しています。同時に、そうしたフェーズ展開の基盤として、MCU全体として長期的かつ戦略的な計画を立案することが可能となります。

第3が、(第1に関係しますが)「映画を超えたキャラクターの発展」(Character Development Across Films)です。MCUのそれぞれのキャラクターは複数の映画に登場し進化し、より深みと複雑さを兼ね備えたキャラクターに成長します。それが、多くファンの心をつかむことにつながっています。さらに、繰り返し登場する脇役キャラクターや「小ネタ」を通じて、物語全体が豊かになり、観客に対してさまざまなフック(関心を生む工夫)を仕掛けることが可能となっています。

第4に、「ブランド?ロイヤルティ」(Brand Loyalty、愛着/忠誠心)の醸成です。MCUにもとづけば、共有された宇宙/世界、視覚的、テーマ的な一貫性をもった、ハイクオリティと統一的なスタイルを維持することが可能となります。その結果、MCUの各作品と全体に対して観客の信頼を得る強力なブランドを構築することに成功しています。

『デッドプール 1』の破天荒な広告宣伝:「??L」

さて、デッドプールは、広告の仕方も破天荒です。2016年新春に公開された『Deadpool 1』では次のような宣伝手法が採用されました。ロサンゼルの屋外広告版に「骸骨の絵」「うんちの絵」「アルファベットのL」の3つの巨大なイラスト「??L」が描かれ、その下に小さく「2月12日公開」と掲示されたのです。

「骸骨」は「Dead」(死)を、「うんち」は「poo」(うんち)を、「L」はそのまま「L」で、3つつなげて「Dead+poo+l」となります。

破天荒なヒーローに相応しい「広告宣伝」手法であり、話題性、ユーモア、インパクトの点でも申し分ありません。

本作『デッドプール&ウルヴァリン』(Deadpool 3)のショーン?レヴィ監督は次のように語っています。「私は学生時代、良い生徒だった。大人になっても宿題はするよ。でも、映画を観に行くときに宿題をしたいとは絶対に思わない。もちろん、マーベルのファン、デッドプール、ウルヴァリンの熱狂的なファンに対して健全なリスペクトと感謝の意を持って、この映画を制作した。しかし、それがすべての前提ではない。この映画はエンターテインメントのために作られたものであり、事前に勉強する必要はない」

事前知識がなくても楽しめる最高の映画を制作したというレヴィ監督の矜持(きょうじ)とプライドが伝わってくるコメントです。

シリーズ前2作を見た方はもちろん、初めての方も、とにかく映画館に行けば、米国の最高のエンターテインメントが味わえる。それが、映画『デッドプール&ウルヴァリン』です!

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