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仲代表の「グローバルの窓」

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第68回 “Seeing is believing!”(百聞は一見にしかず!)

2024.05.31

パキスタンでのソリューションビジネス

 部が売上予算達成に苦しむ中、「パキスタンで200億円のビジネスの可能性がある」という話が飛び込んできました。我々はエネルギー市場における「ソリューション」ビジネスを創出しようと模索していました。これまでの量販ビジネス(携帯電話やPC等)なら売る物がはっきりしているのでわかりやすいのですが、「ソリューション」ビジネスはそうした売り物が目に見えないため、なかなか実感が湧きません。社会や顧客が抱える問題や課題に「ソリューション=解決」を提供するのが「ソリューション」ビジネスで、これまでの「モノ」ではなく、「コト」を売る商売なのです。正確ではありませんが、「サービス」という概念を思い浮かべると少しはわかりやすいかもしれません。

 パキスタンの話もエネルギーのソリューションを提供しようというものでした。200億円もの規模になるのは、スマートメーター(通信機能の付いた電力計)を大量に設置するからです。スマートメーターは電力使用量をデジタルで計測する機器です。金額が大きくなるのは、スマートメーターを量販するからなのですが、それ以外にもエネルギー計測システム等電力使用を効率的に運営、管理するシステムを構築します。全体として、端末からシステムまでを提供するソリューションでした。さらに、電力運営、管理を請け負うと金額はもっと膨らむという可能性も秘めていました。「ソリューション」ビジネスは、ハードウェアだけではないので、価値も金額も大きくなります。とはいえ、今回のパキスタンの話は、半分以上はスマートメーターの機器が占めていましたので、ハードウェアの色の強いビジネスでした。

キャラバン組んでの出張

 この話を聞いて、私は2つの点で引っかかりました。1つは、本当に大量のスマートメーターを設置する政府方針が固まっているのかということ。もう一つは、スマートメーターやシステムに対し、当社が何ら自社の製品なりソリューションを持っていないことでした。要は当社のコアコンピタンスが見出せなかったのです。当社は、スマートメーカー会社やその他の機器、ソフトウェアを提供する会社をパートナーにし、そうしたパートナーを束ね、システムとしてIntegration(統合)するのが役割でした。プロジェクトマネジメントとスマートメーターを含めた全システムを提供する責任となるのです。だから、当社のような名の通った大手企業に話が来るわけです。話そのものは、パキスタンの駐在員事務所からでしたが、その背後にはパキスタン政府に食い込もうというフィクサーやスマートメーター機器メーカー等様々な思惑がからんでいました。

 事の真偽を見極めるべく、「百聞は一見にしかず」ということで、私は部下2人と共に2週間の出張に出ました。行先は、パキスタンだけではなく、各パートナー企業のいるUAEやシンガポールにも足を伸ばしました。この出張の最大の目的はほんとに200億円のビジネスチャンスがあるのか、あるとしてもソリューションとしてコアコンピタンスを持たない当社がやる意味があるのかという点にありました。後者については、ビジネスリスクとの天秤になります。

 パキスタンの駐在員事務所の現地人と海外グループからパキスタン担当の出張者2名が加わり、当方3名と合わせて6名がキャラバンを組んで対応しました。パキスタンスタッフのエネルギービジネスにかける情熱は頼もしく、何とかビジネスを実現したいという思いに駆られました。最初の出張目的は、肝心のパキスタン政府の計画が他力本願で覚悟が感じられず、規模的には数億円くらいから始まるくらいに考えておいた方がいいレベルでした。

 2つめの目的については、リスクを取ってすべてを引き受けるには、資金面もさることながら、絡んでくるパートナーが5社くらい必要で、コア技術をもたない我々が彼らを引っ張っていけるか非常に疑問でした。候補のパートナーを10社ほど訪問し、議論しましたが、手ごたえは不十分で、プロジェクト全てのリスクを負うことはとてもできないと思いました。 

出張で印象に残ったこと(ドバイ他)

 この出張で、ドバイを初めて訪れましたが、ドバイはシンガポール以上に人工的で急成長している街だと感じました。世界一高い超高層ビル(828m)のブルジュタリファから見るドバイの風景は圧巻でした。中でもパームジュメイラ(ヤシの木の形をした人工島)は、ホテル、アパート、ショッピング施設等まさにドバイを象徴する高級エリアで、強く印象に残りました。また、ドバイは、パキスタンを始め南アジア(インド、バングラディシュ、スリランカ、ネパール)からの出稼ぎ者が多く、南アジアと中東が一つの経済圏として成り立っていると感じました。

 他に出張中の出来事として、ドバイのホテルのプールサイドで夜遅くまでビジネスの議論をしたこと、最終日はイスラマバードに戻り、JICAの方から日本のカレー料理をご馳走になったこと、パキスタン大使館主催のパーティーに参加した際、外務省在外公館派遣員として若い女性が3名ほど2年間の期間、いきいきと勤務に励んでおられたことが印象に残りました。

 結局、ビジネスの方は、有力案としてドイツの大手企業をフロントに立て、我々がサブリーダー的位置づけでビジネスを回すやり方で進めようという結論に至りました。ドイツの大手企業との交渉が次のポイントになりました。

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