米国スターバックス社の、ワンちゃん用裏新皇冠体育「パプチーノ」と、現在同社が、好業績のなかにあっても、「再創造」を目指して取り組んでいる「トリプルショット?ツーポンプ計画」の概要を紹介します。
やはり、アメリカ社会でも「犬」が人気!
アメリカ人(成人)のペットに関する意識調査があります。世界的に著名なシンクタンク、米国「ピュー?リサーチ?センター」(Pew Research Center、ワシントンD.C.を拠点)が、2023年7月に発表したものです。
その調査によれば、ほとんどのアメリカ人(62%)はペットを飼っており、そのうちの約3分の1(35%)は複数飼っています。また、ペットを飼っているほぼ全員(97%)が、ペットは家族の一員であると答えています。
アメリカ人のなかでは、犬と猫のどちらが人気なのでしょうか?調査対象者のうち49%が犬のみを飼っていると回答。一方、猫のみを飼っているという回答が23%。さらに、24%が犬と猫の両方を飼っているそうです。やはり、全体的に、アメリカでは犬が人気ですね。ちなみに、日本でも、好きなペットNo.1は犬です。
「パプチーノ」は、米国スタバのワンちゃん用「裏新皇冠体育」
さて、社会全体として犬の人気が高いということもあり、米国の「スターバックス」(Starbucks)にも、ワンちゃん用の無料「裏新皇冠体育」があります。それが、「パプチーノ」(Puppuccino)です。「パプチーノ」とは、顧客の愛犬のために特別に作られた、スターバックスの小さなカップに入ったホイップクリーム。もちろん、コーヒーも紅茶もカフェインも入っていません。「子犬」(puppy)と、「カプチーノ」(cappuccino)または「フラペチーノ」(frappuccino)との合成語です。
英語の発音は、「パペチーノ」に近い感じ。別名「パップカップ」(pup cup)。パプチーノについて、J-CASTニュースの取材に対し、アメリカのスターバックス本社から、次のとおり、回答があったそうです(J-CASTニュース記事(2023年9月19日))。
「パプチーノはカップまたは蓋の上にホイップクリームが入っています。こちらはスターバックスの公式新皇冠体育ではありません。ただし、お客様はドリンク用に追加のホイップクリームを注文することができ、犬のためにこれを注文するお客様も見られます」(原文は英語)
ちなみに、ネット上などでは「下痢を起こす場合もあり、与え過ぎには気を付けて!」という専門家の見解が紹介されています(たとえば、J-CASTニュース上記記事)。
このような裏新皇冠体育のひとつをとっても、スターバックスのサービス精神、オシャレ感、ユーモアのセンス、温かみが感じられます。
「ショット」と「ポンプ」
こうしたハイセンスのスターバックスは、好業績のなかにあっても、現在、「再創造」(reinvention)を目指して、長期成長戦略を展開中です。その戦略には「トリプル?ショット?リインベンション?ウィズ?トゥー?ポンプ」(Triple Shot Reinvention with Two Pumps)と名付けられています。
多くのスターバックス?ファンが、この戦略の名前を聞けば、ピンとくると思います。なぜなら、ファンにとっては、お馴染みのスターバックス用語(Starbucks Lingo)に引っ掛けているからです。ちなみに、「lingo」(リンゴウ)とは「スラング」「業界用語」という意味。
「ショット」はコーヒー量の単位で、スターバックスでは「エスプレッソショット」を意味します。極細挽きのコーヒー豆を20秒前後で一気に高圧で抽出した濃厚なコーヒー1杯分(30㏄程)です。たとえば、「スターバックス トリプルショット? エスプレッソ」(Starbucks Tripleshot? Espresso)は、3杯分のエスプレッソに、なめらかでクリーミーなミルクを加えたトリプルコーヒーのこと。
また、スターバックスでは、シロップが入った容器を1回押して注入することを「1ポンプ」(1 pump)といいます。1ポンプあたりのシロップ量は大さじ1/2(7.5ml)。たとえば、「バニララテを2ポンプ」で注文した場合、バリスタ(barista)がドリンクにバニラシロップを2ポンプ加えてくれます。
長期成長戦略(以下、『トリプルショット計画』と略す)の名前からも、ハイセンスな言葉遊びと、茶目っ気(ユーモア)が伝わってきて、さすが「スターバックス」と感心させられます。
この『トリプルショット計画』は、「トリプル」(3)と「トゥー」(2)を足した5つの柱からできています。同計画は、2022年9月のスターバックス社の「インベスター?デー」(投資家デー)でハワード?シュルツ前CEOが発表した独自の改革戦略に基づくものです。2023年4月、ペプシコとレキットの元幹部ラックスマン?ナラシマンが、シュルツCEOと8ヶ月間仕事をした後、正式にCEO(最高経営責任者)に就任しました。
2023年度(2023年10月1日終了)の同社の世界の既存店売上高は前年比8%増。北米と米国の既存店売上高も前年比9%増、海外売上高は5%増。全体では、2023年度の純売上高は年間12%増で、過去最高の360億ドルに到達。「絶好調」を維持しています。2024年度の世界全体の売上高はそれぞれ10%-12%、売上高は5%-7%のさらなる成長を見込んでいます。
こうした状況のなかで、ナラシマン現CEOは株主に対して「私は、次の成長段階に向けて会社を再創造(reinventing)し、再創設(re-founding)するためにこれまで行ってきた仕事を非常に誇りに思っています。私は、収益成長と利益への複数の道筋に興奮しています」と述べています。
両面ドライブスールーやデリバリーオンリー型店舗の拡大
ここで、『トリプルショット計画』の5つの柱を簡単に確認しておきましょう。
第1が、「ショット#1:スターバックスブランドの向上」です。店舗展開では、2024年度には米国で4%の純増を達成し、最終的な長期目標は米国で20,000店舗を目指しています。「目的を明確にした店舗と改装の加速」「より強固な経営基盤によるより良い店舗運営」に注力する計画です。たとえば、ピックアップ/ドライブスルーのみ、両面(double-sided)ドライブスルー、デリバリーオンリーのような、目的を明確にした店舗フォーマットの革新により、差別化された体験を提供することを目指しています。
第2が、「ショット#2:デジタル機能の強化」です。一例として、現在米国で3,260万人いる「スターバックス?リワード」(Starbucks Rewards)会員を、今後5年間で7,500万人に倍増させます。また、同社は、デルタ航空とのリワードパートナーシップを他企業にも拡大することを計画しています。ちなみに、「スターバックス リワード」とは、同社のポイントプログラムです。
第3が、「ショット#3:真のグローバル企業化」です。2030年までに世界店舗数を55,000店舗に拡大し、1日平均8店舗を新規出店する計画です。なお、過去5年間で、同社は9,000店舗をオープンし、そのうちの約80%の7,000店舗は米国外での展開であり、着実にグローバル化を進めています。
第4が、「ポンプ#1:効率性の追求」です。同社は、30億ドル(約4,500億円)の(店舗運営)効率化プログラムを実施することを発表しています。
第5が、「ポンプ#2: パートナー文化の再活性化」です。同社は2025年度末までに、賃金の引き上げなどにより、米国におけるパートナーの時間当たり収入を2020年度比で倍増させることを見込んでいます。同社では、働くすべての従業員を「パートナー」と呼びます。同社はパートナーたちの進化するニーズに耳を傾け続け、彼らの仕事、チーム、そして人生において彼らを最大限にサポートしていく、と宣言しています。
以上のような『トリプルショット計画』にもとづき、2024年の最強スターバックスが、どのように自らを「再創造」していくのか、その行方に大きな注目が集まっています。
日本では「抹茶クリーム フラペチーノ」が人気!
では、最後に、日本のスターバックス(親会社が米国スターバックス)に目を向けましょう。株式会社しんげん(東京都渋谷区)が実施した「スターバックスでよく頼む飲み物」に関するアンケート調査結果(2024年2月2日、男女200名)があります。同社は「知るとちょっと嬉しい。」をテーマに主婦のための生活情報サイト「SHUFUFU」(https://shufufu.net/)を運営しています。
「よく頼むスタバの定番ドリンク新皇冠体育は?」の問いに対して、第1が「抹茶クリーム フラペチーノ(16.5%)」でした。 第2が「キャラメル フラペチーノ(14%)」、第3位が「ドリップコーヒー(13.5%)」という結果となりました。理由のコメントをいくつか紹介しましょう。
1位:抹茶クリーム フラペチーノ
?抹茶を2倍にして飲むと深みが出て美味しいから。(30代女性)
?学生時代に親しんだ味で今なお飲みたいと感じるため(20代男性)
2位:キャラメル フラペチーノ
?期間限定のものにも惹かれますが、足を運ぶときはいつもついついホイップが乗っているものを頼んでしまう(20代女性)
?コーヒーも美味しいですが、フラペチーノはデザート感もあって特別なご褒美な気持ちになれるので(40代女性)
3位:ドリップコーヒー
?スイーツと一緒に飲むのに1番適しているから。その日により豆もちがうのでたのしい。(40代女性)
?いろんなコーヒーの味があって楽しいので。(30代女性)
第1位の「抹茶クリーム フラペチーノ」は、世界的な「抹茶」(MATCHA)ブームにも重なります。ちなみに、抹茶には、「カテキン」(抗酸化作用)、「テアニン」(リラックス効果)、「ビタミン」類(美肌作り)、「食物繊維」(便秘解消)など、豊富な健康成分が含まれています。こうした健康効果をもつ抹茶を、「スーパーフード」としてプレミアム価格を払ってでも求める消費者が世界的に増えているそうです。
これらの上位3位のなかに、みなさんの好きなドリンクは含まれていますか?今日も、多くのファンが、スターバックスのドリンクとともに笑顔で過ごしている姿が目に浮かびます。