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仲代表の「グローバルの窓」

仲代表の「グローバルの窓」

第65回 “I decided to jump into a new division as my last challenge.“?(私の最後の挑戦として、新たな事業部へ飛び込もうと思いました)

2024.04.22

内外の交渉と企業文化の交わり

 前回も書きましたが、携帯端末事業は日本国内のビジネスが厳しくなったことで、海外市場も北米のベライゾン社向けビジネスを除き、撤退となりました。タイ、メキシコ、中国、韓国の4か国の市場からの撤退です。それぞれの市場で撤退プランを策定し、顧客と事業の収束へ向けた交渉が始まりました。

 タイは流通が滞っていましたので、流通にある1万台以上の在庫をいかにユーザーまで流すかがポイントでした。こちらは、ディストリビューターと交渉し、流通在庫一掃セールスキャンペーンの原資を支援することで決着させました。メキシコ、韓国は次期商品を出す計画がない(事実上の撤退宣言)ことを伝え、トップを巻き込んでお互いの収束プランを策定しました。中国はディーラーチャネルの商売でしたので、中国の現地法人の方と一緒に撤退プランを策定し、進めました。難題は保守サポートでしたが、この現法の方が自ら設立した会社が保守もやれるということでしたので、同社に保守サポートの必要資金を供与し、保守を全面的に任せることで最終的に決着しました。

 1勝1敗で迎えた私の携帯端末事業の第3戦はこのようにして幕を閉じました。移籍して4年が経とうとしていました。撤退が決まってからは、外部的には顧客との撤退交渉、内部的にはNEC本体の事業部との部下の引き取り交渉でした。ベライゾンビジネスに携わる3名を残し、全員の引き取り先が決まったときはほっとしました。考えてみれば、普通の撤退なら会社は倒産で失業となるところですが、このようにNEC本体が子会社の人員を引き取ってくれるのはありがたいことでした。

 私の部署は9割がたカシオと日立の出身者でしたので、NECの企業文化とは違った文化と交われたことはとてもよかったと思います。具体的には、より実践的で現場志向の強い文化ではなかったかと思います。また、あまり社内政治に配慮する必要もありませんでした。商品的には、ブランドと商品の世界観をものすごく大事にされているということも学びました。

私自身の異動先をどうする?

 上司の常務から、「残るはあなただけとなりました。どうしますか?海外グループのトップはあなたを引き取ってもいいと言ってくれています」と言われましたが、私は今さら海外グループに戻る気はありませんでした。やったことのない事業部でかつ知っている人のいない事業部に飛び込んでみたいと思ったのです。役職定年前でしたので、仕事は最後のチャレンジになることから、心機一転、しがらみのない未知の世界に飛び込んでみたかったのです。

 私はスマートエネルギー事業部というNECの中でも新しい事業部に応募しました。この事業部は海外市場へはこれからでした。エネルギー市場は、世界的には再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱等)へ舵を切り始めていました。3.11の東日本大震災の後でもあり、原発に対して否定的でもありました。エネルギーの需要、供給を効率的に行うこと、これまでの発電、送電、配電の中央集中型で一方通行の電力の流れから地産地消で分散型の電力の流れへ移行することを推進することがスマートエネルギービジネスの大きなポイントでした。このビジネスは、ハードウエア、ソフトウエアのビジネスだけではなく、ソリューションを提供するビジネスでした。つまり、顧客の課題や困りごとを解決するためのサービスを提供するビジネスです。

スマートエネルギービジネスへの挑戦!

応募は無事に通り、いよいよ最後の挑戦が始まることになりました。私にとってエネルギービジネスのことを何も知らず、ましてソリューションビジネスは初めての経験でした。SDGsなど世界的なトレンドに乗った業界ですので、やりがいはあると感じていました。事業部内に知っている人はほとんどおらず、私はグローバル事業推進部に配属され、5人の部下を持つことになりました。そのうちの一人は、欧州時代に一緒に仕事をした人でしたので、心強かったです。

 いよいよ私の最後の挑戦、スマートエネルギービジネスへの挑戦が始まりました!

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