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マーケティング最前線!

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75年前(1950年)のチューリングの問い「機械は人間のように考えることができるか?」がAI(人工知能)開発の起源!

2025.01.27

ChatGPTの利用急増に見られるように、AI(人工知能)は私たちにとって「当たり前の技術」になりつつあります。そうした状況のなかで、そもそも、AIの開発はなぜスタートし、今、なぜ必要で、急速に開発が進められているのか。素朴な疑問について考えてみます。

米国の若者の半数近くがChatGPTを利用

2022年11月に公開されたChatGPT。リリース後わずか2ヶ月でユーザー数1億人を突破(ChatGPTの日本語対応は2023年5月)。現在、1か月当たりのChatGPTへのアクセス数は世界全体で延べ37億回とされます。ChatGPTに代表される生成AIは、すでに、ビジネス、学問、デザインなどの現場で多くの人々が活用する技術となっています。

ChatGPTとは、アメリカのAI研究機関OpenAI(オープンAI)が開発した会話型生成AIサービス。生成AI (Generative AI) とは、文章、画像や動画などの新しいコンテンツやアイデアを作成したり、知っている情報を再利用して新たな問題を解決したりできるAI(Artificial Intelligence)の一種。

米国のSEO対策企業BACKLINKOによると、2024年2月現在、米国の成人の23%がChatGPTを利用したことがあると回答しています。2023年7月の18%から5%の増加。特に、アメリカの18歳から29歳の成人の半数近く(43%)がChatGPTを利用したことがあり、他のどのグループよりも多いことが判明。一方、65歳以上の成人のうち、ChatGPTを利用したことがあるのはわずか6%。

そうしたなかで、日本経済新聞(2025年1月6日)が、人工知能(AI)はあらゆる製品の土台となり、2030年には世界経済に与える影響が3,000兆円を超えるとの予測を紹介しています。

Introducing DALL·E 3 (By OpenAI)

「DALL-E3」(ダリ?スリー)とは、OpenAI社が提供するChatGPTに連動した画像生成AI。「プロンプト」(prompt、指示文)を入力するだけで指示に沿った画像が生成されます。ChatGPTと会話(チャット)をしながら画像デザインを創作/修正/改善することが可能な、とても使いやすいAIプログラム。「DALL-E」という名称は、シュルレアリスム(超現実主義)を代表するスペインの画家「サルヴァドール?ダリ」と、29世紀の地球に取り残されたゴミ処理ロボットの恋愛/冒険映画「WALL-E」(「ウォーリー」、ディズニー/ピクサー2008年)に由来。

アラン?チューリング「機械は人間のように考えることができるか?」

AIが当たり前の技術になりつつある現在、そもそもその開発はなぜスタートしたのか、素朴な疑問が浮かんできます。

「機械は人間のように考えることができるか?」。1950年にイギリスの数学者、アラン?チューリングによって提起された「問い」です。この問いがきっかけで、人工知能(AI)の研究/開発がスタートしたとされます。

AIの誕生は、第二次世界大戦後から、初期のコンピュータ機器(計算機)の開発と認知科学(情報処理など人間の知的機能の研究)の探求の流れの一環として生まれてきました。この時期に、英国数学者アラン?チューリング(Alan Turing)や、ハンガリー出身の米国数学者ジョン?フォン?ノイマン(John von Neuman)などの研究者が、「機械が人間の知能を模倣する可能性」について考え始めました。

模倣ゲーム(チューリングテスト)

特に、アラン?チューリングの1950年の画期的な論文『計算機と知能』(Computing Machinery and Intelligence)は、今日のAI研究の基礎を築きました。チューリングは「模倣ゲーム」(後の「チューリングテスト」として知られる)を提案し、機械が人間と区別がつかないほど、つまり人間と同じような知的な振る舞いを示せば、それは「考える」能力があることを示す、と提起しました。チューリングの問いは、機械の本質(「機械とは何か」)に対する疑問を投げかけるだけでなく、人間の認知、知覚、感情の本質についての探究も促しました。

当時、AIの開発は主に理論的/学問的なものであり、技術的な限界に制約されていました。しかし、1950年代から60年代にかけて、コンピューター技術の急速な進歩により、チェスをプレイするアルゴリズム(問題処理方法)や初期の自然言語処理プログラム(機械が「人間の自然な言葉」を理解する技術。プログラム名「イライザ」)などの研究が進み、今日のAI研究の技術的な土台が形成されました。

ジョージ?オーエル『1984』とアイザック?アシモフの『I, Robot』

第二次世界大戦後、技術の進歩が楽観的に受け入れられる一方で、不安/懸念も生まれました。戦争は人間の創意工夫/テクノロジーの威力を示しながらも、科学技術が持つ破壊的/破滅的な潜在力も証明しました。

たとえば、ハリウッド映画「オッペンハイマー」(2023年)が世界的に大きな議論を巻き起こしたように、原爆の登場は、科学の進歩の両義性(矛盾)を提起するものでした。このパラドックス(背反)は当時の知的な風潮/関心を形作り、AIに対する幅広い議論に影響を与えました。

一方では、AIが、人類の進歩の新たな「フロンティア」(最前線)として、テクノロジーで社会を発展させ、社会問題を解決する可能性を秘めていることも徐々に明らかになってきました。同時に、機械が人間の労働を奪い、個人の自主性を奪い、最終的には人間の知能を超えてしまうことへの懸念も生まれました。

これらの懸念は、ジョージ?オーウェルの『1984年』(1949年)やアイザック?アシモフの『I, Robot』(「われはロボット」、1950年)などのフィクション小説にも反映され、「未来の機械による人間支配」への警告となりました。

デカルト「二元論」 vs. ホッブズ「物質論」

並行して、AIの開発に対して、人間の意識、心、魂の本質に関する宗教的?哲学的な問題の提起もなされました。哲学者や神学者たちは、機械が人間の思考や感情、自己認識を再現できるかどうか、あるいはそれが人間特有のものであるのかについて考察しました。

AIに関する哲学的な議論における大きな分裂は、(心身)「二元論」(dualism)と「物質論」(materialism、物質主義)の対立です。「我思う、ゆえに我あり」で有名な仏哲学者ルネ?デカルト(1596年-1650年)が提唱した「二元論」は、心と身体は別の実体であり、心(または魂)は非物理的で「機械の手が届かないもの」だと考えます。

これに対して「物質論」は、心は神経活動のような物理的なプロセスの産物であり、したがって「機械が心を再現することも可能」だと主張します。物質主義の擁護者の一人として、英国哲学者トマス?ホッブズ(1588年-1679年)があげられます。彼は、「万人の万人に対する闘争」「リヴァイアサン」で有名です。

ホッブズは人間を複雑な機械として捉え、思考や意識は粒子の物理的な動きから生じると考えました(「人間機械論」(theory of human machine))。そして、彼は、すべての人間の経験、感情、思考は、身体内の物理的な過程(プロセス)によって説明できると信じていました(「物理主義」(Physicalism))。

このように、人間を機械のように見立てるホッブズは、物質的で利己的な欲望にもとづく個人的な闘争がより広範な 「諸国民の闘争 」(国家間戦争)へと拡大すると考え、機械論的な人間や国家の相互作用に内在する混乱を防ぐために、国家の強い権力、つまり中央集権(「リヴァイアサン」(「旧約聖書」の海の怪獣に由来))が必要であるという立場をとっています。

二元論と物質論のどちらを支持するかがAIの研究/開発に影響を与えます。もし心が(機械で模倣できる)身体とは別のものであれば、機械は決して「考える」ことはできないという結論になります。しかし、もし心が身体の物理的プロセスの産物であれば、(人間の身体を模倣した)機械が人間の認知機能を模倣することは理論的に可能であると考え、AI肯定論につながっていきます。

AIは神の領域に触れるのか?

さらに、AIに関する宗教的な議論では、機械が「考える」ことが可能になった場合、その影響について懸念が示されています。多くの宗教家は、知能を創造する能力は人間の領域を超え、神の領域に触れるものとして捉える傾向にあります。機械が「魂」を持つかどうかという問い、そして、AIが進化していく中で、どのような意識を持つ可能性があるのかは、神学的にとても重要な課題になっています。

このように、AIが哲学的?宗教的な面で重要な考察対象である一方、社会政治的および経済的な要因も急速に強まってきています。Google、Microsoft、Apple、Amazon、Meta、Tesla、Netflix、Nvidiaなどの米国巨大IT企業(Big Tech)によるコンピューター技術の急速な進歩により、AIは単なる理論的なもの以上に、収益性の高い産業、つまり巨大ビジネスとなりました。

「技術的な楽観論」(テクノオプティミズム)

そうした状況のなかで、AIなどの先端テクノロジーに対する「技術的な楽観論」(テクノオプティミズム、techno-optimism)が、超大国?米国を中心に拡大しています。

第1に、AIは、医療、交通、金融などの産業を革命的に変える可能性を秘めています。自動化、予測分析、機械学習(コンピューターが大量のデータを分析して傾向等を学習する技術)は効率を高め、コストを削減し、新たな経済成長の道を切り開くことができます。例えば、AIは医療分野で大きな進展を見せており、診断支援、薬物発見、さらにはロボット手術などに利用されています。AIの開発は、社会的な諸課題を解決し、生活の質を向上させる可能性を持っていると見なされているため、この進展は加速しています。

しかし、こうした進展には懸念も伴っています。AIがもたらす仕事の喪失や経済格差の拡大については、多くの議論があります。特に低スキル労働者の仕事がAIによって置き換えられつつあり、この傾向がさらに進むと予測されています。そうした課題に対して、すべての国民に政府が定期的に現金を支給する仕組み「ユニバーサル?ベーシック?インカム」(UBI)など、AIによる労働市場のマイナスの影響を軽減/緩和する手段に関する議論も行われています。

地政学的な要因と国家安全保障

第2に、AIの開発は、地政学的な要因(地理的な位置関係による、政治的や軍事的、社会的な要因)とも密接に関連しています。アメリカ、中国、ロシアなどの国々は、AIを戦略的な資産と見なし、軍事力、政治力、経済力、国家安全保障の強化の手段としてとらえています。そのため、官民をあげて最先端のAIシステムを開発するための国際競争が激化しています。

たとえば、AIは自律型兵器システム(ロボット兵)、監視技術、サイバーセキュリティーなどで活用されるなど、破壊的な武器として使われるリスクも顕在化しています。

「シンギュラリティ」と倫理的AI設計

第3に、AIは着実に進化し、「人間のような知的」な機械を作り出す技術的な障壁が低くなっています。機械学習アルゴリズム、ニューラルネットワーク(人間の脳神経系を数理モデル化)、自然言語処理システムは、すでに人間の認知を模倣する領域に達しています。この進歩のペースは加速しており、機械が「考える」能力を持つ可能性がますます現実味を帯びています。

アメリカの発明家/未来学者で、人工知能の世界的権威、レイ?カーツワイル(Ray Kurzweil)博士が、人工知能の性能が人類の知能を上回ると見込まれる瞬間点「シンギュラリティ」(技術的特異点、singularity)が2045年頃に訪れると予測していることはよく知られています。

第4が、AIの産業/ビジネスの創出力と、倫理的AI設計による課題解決の可能性です。AIが産業/ビジネスを変革し、新たな経済成長や収益源を生み出す可能性があるという経済的圧力が、AI開発を続ける主要な動機となっていることは前述したとおりです。政府、企業、個人は、経済成長、雇用創出、社会的成果の向上を目指して、AIの力を活用しようとしています。

同時に、AIが社会、倫理、環境に与える影響についての懸念に対しては、多くの学者/研究者や技術者は、これらの問題は適切な規制と(倫理的なガイドラインに従った)倫理的AI設計によって解決できると考えています。例えば、「ChatGPT」を運営するOpenAIなどの組織は、人類全体の利益となるような透明性が高く安全なAIの開発を推進しています。

以上のように、AIの研究/開発は今後さらに加速度的に進展し続けることが予想されます。そのなかで、私たちは、AIを利用するにあたって、AIの可能性と限界を認識しつつ、その開発や進化が可能な限りすべての人々に利益をもたらすよう見守っていく必要があるかもしれません。

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