異文化体験で実感した“言葉の力”
幼い頃からアニメは副音声の英語吹替版を見たり、アメリカンスクールのサマーキャンプに通ったり、何組か、短期のホストファミリーとして外国人を受け入れたりと、異文化に触れることが多かったです。特にホストファミリーとしての受け入れでは、家に数日滞在する外国人は当然、バックグラウンドや文化が違います。自分が英語で話すことが難しいと思っていても、どうにかして言葉を伝えたいという思いがありました。100%を伝えることができなくても、80%でもいいから、自分のできる表現で伝える努力をしました。コミュニケーションを取ることができれば信頼を得たり、相手の心を動かすことができます。言葉の力ってすごいなと、この経験から学びました。
そういったこともあって、高校でもさらに英語の勉強をしたいと思い、英語の授業数が多く、国際色豊かな学校を選びました。高校3年生の夏にはアメリカ国務省招聘プログラムで日本代表として1ヶ月間渡米しました。大学受験で一番大切な時期でもあり、高校の先生方には大変心配をかけることになりましたが、世界に出て挑戦してみたいという思いは強く、参加を決意しました。その高校時代の担任の先生にプレコンでインプレッシブ賞を受賞したことを報告したとき、「その賞って本当に永望さんらしい賞だよね」と仰って頂けたことが本当に嬉しかったです。
データの重要性に気づかせてくれた大学での学び
大学は英語をそのまま勉強し続けたいと思い、国際総合科学部国際教養学系があり、ネイティブの先生が多く在籍し、英語のプログラムも充実している横浜市立大学に進学を決めました。英語で開講している授業はディスカッションベースのため、自分の意見を求められます。意見には必ず根拠をつけることを指導いただいているので、今回のプレゼンにおいて、データをしっかり使いました。データを使うというのは普段直観で生きている私にとって、すごく大きく成長した部分でもあります。信頼性や説得力を持たせることで、自分自身の考えに深みが出ました。大学では、その他にも多角的にものを見ることや、世界から日本はどう見えているかといった授業もあり、クリティカルに考えるということに関して、とても訓練をさせていただきました。
横浜市立大学からは過去に2名の先輩が最優秀賞を受賞しており、その先輩方とお話をさせていただいた時に、プレコンを知りました。プレゼン?スピーチが好きというのもありましたが、自分の英語力を試してみたいと思い、今回コンテストに参加しました。
“伝えたい”という強い情熱を持ってプレゼン
私がプレゼンやスピーチにおいて一番大切にしていることは、情熱や伝えたいと思う心です。自分の気持ちが乗っていないと、伝わるものも伝わりません。今回、評価された点も自分の伝えたいことがしっかり伝わったからだと思います。
今回、私はジェンダーのテーマを選択しました。ホストファミリーとしての受け入れで世界中に友達がおり、その中にもLGBTの友達がいます。彼らが生活をする上で辛い思いをしている姿を間近で見ていたので、中学校の頃からジェンダーやLGBTについて興味を持ち始めました。高校や大学でもイベントに参加したり、授業を受けて多くの方々と話をする機会がありました。その経験から、この問題について多角的に考えることができたので、プレゼンでも役に立ちました。実際に自分に何が提案できるか考えてみようと思ってプレゼンを作りましたが、世界中の友達にプレゼン案を見てもらうと、「このワークショップを受けてみたい」と言ってもらえたことが、自信につながりました。本選も伝えたいという強い気持ちがあったので、楽しんで発表することができました。
プレゼンに込めた思い
プレゼンしたワークショップは中学校の教育課程の中に盛り込みたいと思い、できるだけ実現可能なものを提案できるようにアイデアを練りました。そのため、プレゼンの中ですべてを発表しないとしても、シラバスやワークショップの内容?構成を細部まで具体的に考え、その先一年の最後にはどういったことを実現したいのかも考えました。自分の中で具体的なアイデアがあると思うと自信がつきますし、根拠がしっかりあるということが周りの方々が見て、わかっていただけるのではないかと思いました。またジェンダー問題に関する提案だけでなく、それと同時に自分らしく生きる、自分らしさを大切にするという意識づけで、プレゼンの中で“Find your true colors.”というメッセージに思いを込めました。この思いはメンタルヘルスをワークショップの中に取り入れるきっかけにもなっています。
TED Talksでもよく言われていることですが、“Ideas worth spreading.”といって、一人ひとりが世界に伝える意義のあるアイデアを持っていると思います。その思いを、みなさんにも是非、発信して欲しいなと思います。